「銀ちゃん新八ただいまー。…誰アルか」
「おかえり、神楽ちゃん。あの人は」

新八が説明をすると神楽がにやりと笑う。
後ろから顔を出した定春に寄りかかる。

「さっさと結婚でも何でもして給料払えヨ」
「新八と同じ事言うな!」
「なんだ、もうやや子もいるのか」
「子供ってもおめーと年変わらねーよ」

そう言って寝る体制を取ると、伊織は耳を垂らした。

「折角地球まで来たのに…」
「帰れ帰れ」
「意地悪じゃなあ…」

いじいじと尻尾を弄ぶ。
そこに新八が身を乗り出した。

「銀さんと知り合いなんですか」
「ああ、戦争のときに知り合った」
「戦争アル?」
「うム。武器の生産費用のために高値で売られそうになったのを救われた」

稀に見る雄の銀狐。
マニアの間ではかなりの高値であろう。

「その時大人になったら嫁入りしようと誓ったわけだな」
「わけだなじゃねえ」

ピン、と額を弾くと、伊織は額を抑える。

「銀時の髪も一族内では綺麗だと評判だしぃ…」
「待て待て、どうしてお前の一族が俺を知ってる」
「伊織は狐だぞ。化けることくらいは出来る」
「ちゃっかり紹介してんじゃねーよ!」

額に追撃をすると伊織は耳を垂らした。

「お前は貴重な狐なんだろ。とっとと帰りな」
「帰国する便は当分出ないし…」
「はあ?」
「金狐の住む国は星の奥の奥故、あと半年は便がない…」


その言葉に肩を落とす。

「仕方ないネ。当分置いてやるアル」
「神楽…」
「なに決めてるんだオイ」
「私とあまりかわらない境遇アル。めっさ同情するネ」

意気投合したのか、伊織の耳がピンと立った。

「改めて、世話になるぞ」
「……………はあ」


銀時はがっくりとうなだれた。




title:ひよこ屋


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