「ねぇ政宗」
「Ah?」
「たまにはゆーっくり遊ぼうよ」
そう首を傾げて言う。
おねだりおねだりー!
「……鞠でも欲しいのか?」
「違う違う!女中さんにきいたんだけど、今お店やってるじゃん」
「城下か」
「そうそう!俺とじょーかでーとしよ!」
そう誘うと、政宗が笑った。
「そんなに行きてぇか?」
「行きたい!」
前お忍びで行ったら怒られたんで、改めて。
政宗はそうかそうかと頷いた。
「ならお前のために執務、真面目にやってやるぜ」
「ほんと?」
「ああ」
くしゃりと撫でられました。
ひゅーひゅー!
やっぱり男前は違いますね!
「待ってるね、政宗!」
小十郎様を追い掛けて遊んでいる朔那です!
もちろん小十郎様は歩幅でかくて追い付かない。
それを追うという男前遊び。
「朔那、気が散るから止せ」
「む!」
襟をつかまれてそのまま背中に乗せられた。
スキルアップした俺は支えなしで背中にいられます。
「どこいくの、小十郎様」
「部屋に戻る」
俺の男前遊びを強制終了させるというのか小十郎様…罪な男よ…!
「朔那!」
小十郎様にしがみついていると、政宗の声がした。
きょろきょろしていると政宗が出てきた。
「政宗様」
「政宗っ」
「小十郎、朔那を着替えさせろ」
「なんで?」
首を傾げると政宗のイケメンフェイスが歪んだ。
…む?
「昨日お前が言ったんだろ?城下dateだって」
「おお!」
「城下でーと?」
「ああ」
そういえば政宗、着物がラフだ!
いつものじゃないんだね!
「でーと!でーと!」
小十郎様の首にがっちりしがみついて身を乗り出す。
政宗覚えてた!
「連れて行ってやるぜcat?早く着替えてこい」
「小十郎様!」
「あ、ああ…」
いまいちつかめていない小十郎様に連れられて部屋に入る。
俺の一張羅見せてやるぜ!!
「お前そんな着物着ていいのか」
「む?」
「はしゃげるか、それで」
おお!!
俺の手には鮮やかな着物。
幾らかは知らん。多分高い。
こんなんで走れるわけなかろうが!!
なら、と浅黄色の着物を取り出す。
これでいいや。
「城下でーと、ということは城下に行かれるのですか…」
「That's right!猫の頼みだ。仕方ねえな!」
といいつつ自分が嬉しそうな政宗。
勿論小十郎様は首を振った。
「殿が独りで出てはいけません」
「独りじゃねぇ、猫がいるだろ」
「変わりません!」
それはそうだけど。
ここに来て壁が出来たな。
「なら小十郎も来い。本来dateはふたりでするものだがしょうがない」
「小十郎は城内に留まねばならない用が…」
「なら行ってくる」
「政宗様!」
俺を背負って政宗が踵を返すと、小十郎様が眉を寄せた。
それに政宗が溜め息を吐いた。
「……朔那」
「ん?」
「伝説の忍は呼べるか」
「ん。多分」
小太ー!
そう呼び掛けると目の前に葉っぱが舞って小太が現れた。
「小太!呼び出してごめんな!」
『ふるふる』
「あのな、今から城下行くんだけど護衛頼んでいい?」
『こくん!』
ありがとう小太!
頭を撫でると微笑んで消えた。
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