やっぱり猫飼ってましたか!
要約すると。
猫を内緒で飼っててそれが消えたところに俺が現れた(何故猫だと思われてるかは知らん)ということですね。
とりあえず挨拶しとくか。
「え、と。朔那……じゃなくて藤です。よろしくお願いします」
「ああ、」
小十郎様、無愛想ですね。
まあ無理もないでしょう。
「藤を城に連れてく」
「梵天丸様、それは」
「連れてく」
「……」
梵天丸は俺の右腕をつかんで歩き出した。
背丈はあまり変わらない。
「梵天丸様、」
城が目の前にあって、中に入ったら部屋に引っ張られた。
「まさ……梵天丸!」
「……藤、」
梵天丸は部屋の真ん中に座って俺を見上げた。
泣き出しそうだ。
「梵天丸?」
「お前がいなくなったとき、どうしようかと思った」
梵天丸は小さく呟く。
どうしたんだ、?
「俺を理解してくれるのは藤だけだから」
「俺だけ?」
俺というか、猫だけ?
「母上は俺を見ようともしないし、小十郎も俺を子供だと思ってる」
まあまだ子供なんですが。
母のことはなんかで読んだ気がする。
でも、こいつは大物になるんだ。
「梵天丸、くよくよするな。ポジティブポジティブ!」
「…ぽじ…」
あ、やべ。
通じないのか。
「えっと、前向きにってこと」
「今の、南蛮語か?」
梵天丸が生き生きとしている。
お、興味あるみたいだ。
「そうだよ、俺南蛮人が飼ってた猫だもん!」
「そうなのか!なあ、他には?」
つい大嘘ついてしまった。
見栄っ張り朔那です…。
「えっとー」
「竜、竜は?」
「ドラゴン」
「どらごん!」
「猫はキャット」
「きゃっと!」
他は?と次々訪ねる梵天丸。
色々教えていると、襖が開いた。
「梵天丸様、お持ちいたしました」
「ああ」
どうやら小十郎様がご飯を持ってきたらしい。
おお。美味しそうな。
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