奥州の冬は寒い。
そらもう寒い。
俺は完全都会育ちだから雪なんてスキー旅行くらいでしか見たことないし。
「小十郎様ー!」
「朔那か」
寝る間際に小十郎様の所に手ぶら訪問。
前に枕持っていったけど、枕固いから使わなかった。
現在も一人で寝るとき枕使わない。
着物を丸めて枕にするくらいだ。
「寒いー」
「…はぁ」
ため息を吐きながらも俺のスペースを開けて招いてくれます。
「お邪魔しますー」
もぞもぞと潜り込んだあと、小十郎様の腕に頭を乗せます。
俗に言う腕枕ですよ!いいだろ!
というわけでおやすみなさい!
「………む」
さぶい。
うっすら目を開けると小十郎様がいません。
「こじゅさまー」
「起きたか」
あ。いた。
いつも知らない間に起きますこの人。
「どっか行くの?」
「外だ。雪をある程度避けねぇと馬が出せねぇ」
雪かき…!
俺都会育ちだからやったことない!
「俺もやる!」
「お前、寒いのだめじゃねぇか」
「やる!!」
布団から飛び起きてみる。
………さぶ!
「全く」
お。
やれるみたいだ。
「うひゃー」
「じっとしやがれ」
手拭いを首と頭に巻かれ、着物を何枚も着せられ、やたら分厚い靴を履かせられる。
子供用の防寒具なんてないよねー。
小十郎様は薄着じゃないか!
手には板を持たせられた。
「お前は雪をそれで避けるんだ。直接触るなよ」
「はい!」
いざ馬小屋に行けば一面真っ白。
「馬ー大丈夫かー」
雪を板で避けていく。
馬だって寒いよな!
「ヒヒン」
「わかるー雪って見る分にはいいよなー」
「…誰と喋ってんだお前」
「小十郎号」
小十郎様の馬は顔立ち美人。
政宗はなんか優秀そう。
まあ手綱持たなくて良いくらいだしな。飛ぶし。
ばっばっと雪を避けると、小十郎様が止めた。
「このくらいだ」
「よっし!」
「政宗様に茶でも持っていこう」
政宗はお部屋だそう。
また執務サボったな。
小十郎様がお茶を淹れるのを、負ぶさって見る。
背中に俺をくっつけたまま、政宗の部屋に行く。
「政宗様、小十郎にございます」
「ああ、入れ」
襖を開けば政宗が机に向かっていた。
気だるそうにこちらを見る。
「朔那、てめぇ昨日どこにいた」
「小十郎様と一緒に寝た」
即答すると政宗の眉間に皺。
まだ若いのにそんなー。
「Shit!最近小十郎ばっかりじゃねぇか!」
「だって政宗より小十郎様のがぴったりだもん」
腕も太いしすっぽりだし。
今も背中が素晴らしいです小十郎様。
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