俺を包んだのは銀色でした。



気付いたらそこは白銀の世界だった。

政宗の城の周りで雪だるま作ったなあ。

…じゃ、なくて
ここ、どこ?

雪ってことは奥州か?


今は周り全部銀色。
城すらない。

「さむい…」

身体を暖めることすら出来ない。
俺は寒いの余り好きじゃないし。

……なんか頭痛い。寒い。


「ねむい…」



雪ん中って眠くなるんですね。
トリップ先で死んだら、戻れるかなあ。







「……う」

暖かい…?

身体を起こそうとしたら動かなかった。
俺、死んじゃったからか?

「…ん?」

誰か俺をがっちり抱きしめ……


「目が覚めたのか」


…!!

「彼のような場所で眠っていては死んでいただろうな」

整端な顔立ちが見えた。
ど、どなた?

とりあえず、


「たすけてくれてありがとう…」
「貴様など救ったつもりはない。勘違いするでないぞ。猫かと思ったのが人の子だったのだ」
「……猫じゃなくて朔那」


…しっかり抱いて部屋に連れてってくれる辺り悪い人じゃないみたいだ。


「真っ白ではないか」

その人は部屋に座り、自分の手に俺の手を乗せた。
それはそうだ。
着物一枚でずっと外にいたんだから。


「猫の死に際に出会すと、己に災が降り懸かるらしい」

ああ、そういえば。
だから猫は死ぬとき飼い主の前から姿を消すんだっけ。


その人は俺を膝に抱えたまま火鉢を付けた。

「ひばち…」
「これで少しは暖まる。我は暫し離れるぞ」

俺を火鉢の近くに置いて、その人は立ち上がった。



「え、あ、なまえ…」
「……毛利元就」


毛利元就はふっと笑って襖を閉じた。




暖かくなってきた。
火鉢っていいね。
中毒にならないようにしなきゃダメだけど。

「ふぇ〜」

暖かい…
眠たくなってきた。

「……まるで本当の猫だな貴様」
「にゅー…」

わさわさと撫でられてます。
この人は何気に動物好きじゃないか?
いや俺人だけど。

「朔那と言ったか」
「なにー?」
「多少何か食べねばならないだろう」
「いらない…」

今日はなにも食べれない。
頭を撫でる手をつかむ。
白くて細い指とか、小十郎様やチカとは違う。

「冷たい」
「火鉢の近くに居たそなたとは違うのだ」


元就様はなにやら疲れているような顔をしている。
毛利ってどこの人だっけ。

……中国か。
奥州と随分離れちゃったなあ。


「ねむい」
「子供はすぐに眠くなるな」


元就様は黙って布団に寝かせてくれました。





「就様!」
「なりさま…?」

元気に復活した朔那です!
朝一番に俺の体調を見に来た就様に飛び付き。

「急に飛びついてくるでない!」
「ごめん!」

就様の片手にはお盆。
お盆?


「おにぎり!」
「昨日から何も食べていないだろう」

就様は器用に俺を抱えたまま座った。
おにぎり!おにぎり!


「おにぎりー」
「落ち着け」

就様の膝に乗ったままおにぎりを食べる。
おにぎりはやっぱり美味しいですよ


「む?」
「……」

肩が重い。
気付けば就様が俺の肩に額を乗せていた。

「就様?」
「そなたといると迷ってしまうな」


「どういこと?」
「捨て駒は捨て駒ぞ」


なんか、ひとりで話してるけど。
…俺は何も言わない。

「我の駒は人の子なのだと思い知る」


………兵士さんですか?
兵士さんは人の子ですよ。





「我にとって兵士は捨て駒なのだ」
「すてごま…」



戦国の世はわからない。


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