「良い子にしていたか」
「もちろん!幸村、早く」
「朔那ちゃんはすごいですよ、旦那」
「何をしたのだ朔那」
「早く!」

わかったわかったと幸村が歩きだす。
だんご食べよう!


「む、朔那。それは?」
「じゅにあ!」
「じゅにあ?」
「小さい朔那って意味なんだってー」
「おお!言われればこの猫。朔那そっくりでござる」
「朔那ちゃんが縫って作ったのよ?」
「何!朔那は随分器用なのだな!」

俺には出来ぬ、と幸村が呟く。
お前が器用でも嫌だ。



「あとこれ!」
「団子!」

差し出された団子に幸村が飛び付いた。
でもまだだめです。

「みんなで仲良く食べるの!」
「…そうだな」

ちゃんと部屋に戻って、座る。
お団子に欠かせない熱いお茶は佐助が入れてくれました!



「あー…」

日に当たる畳の上でお茶。
日本人として嬉しい。


「む?」
「どしたの朔那ちゃん」

どしたのじゃないだろ佐助。

「だんご、たべないの?」
「…ほらお仕事あるじゃない」


お仕事があるとだんごは食べられないらしい。

「食べた物のにおいは消えにくいんだよ」

なんだそれ。
俺はお前に食べてほしいのに。


「……」

仕方ないか、お仕事なんだ。



「食べれば良いだろう?」



……は?

「だ、旦那今…」
「食べれば良いと言った」

きょとんと幸村は団子を頬張った。
…食べれば良い、だと。

「でも」
「俺は当分日中出掛けることが増える。その間朔那の面倒をみるのはお主しかおらぬ」
「はあ……」


ドラマみたいに遠まわしに休みをあげてるわけじゃない。
真剣に言ってるわこのわんこ。

て、ことは

「はい!さすけ」


団子をあげてもいいのか!


「……」
「む?」
「ありがとう、朔那ちゃん」


団子をひとつ取って、佐助が口に運んだ。




「こら朔那!」
「にゅっ」
「火は触っちゃだめ!」


勝手に団子焼こうとしたら怒られた!
思ったんですが佐助は過保護すぎますよね…。


fin.1114

* * *
後半じゅにあちゃんいませんね…。





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