「さすけぇ」

猫が起きてきた。
今は丑の刻。


「どうしたの朔那ちゃん、布団戻りなさい」
「みゅ〜…」

その場でしゃがんでしまう。
溜め息をついて朔那を拾い上げる。

「どうしたの」
「さむい…」

手を頬に当てれば冷たい。
朔那のことだ、寝相で布団を蹴飛ばしたんだろう。

「はいはい、つきましたよ」
「さむい」
「ちゃんと着てればいいの」


掛けてやれば、朔那は直ぐに眠ってしまった。





「朔那、もうよい」
「やだ」

幸村の髪を解く。
こいつ意外と長いんだよ!
つんつんかと思えばふわふわ。


「朔那」
「あら旦那、猫に遊ばれちゃって」


佐助がやってくる。

…!


「さ、さすけ」
「ん?」

今日お前、お前!

「髪がおりてる!!」
「…ああ」


いつも顔になんかくっつけてるのに
今日は髪を下ろして、服も違う!!

「佐助は今日休みでござる」
「久々のね」


櫛を置き佐助に飛び乗る。
前髪意外と長いね。


「佐助さあ」
「ん?」
「髪下ろしてるとかっこいいねー」

なんて言ってみると

「なに朔那ちゃん、俺様に惚れた?」
「いや、全然」

忍んでない忍には惚れません。
なんだーと佐助が呟く。

幸村はと言えば。


「はっ!今日は町に出掛けねばならないのであった!」
「あ、そうだったね。旦那ー早く準備しなよー」
「俺も!俺も!」


行く!といえば幸村は申し訳なさそうに。

「すまぬ朔那、今回は連れて行けぬ」
「えー」
「ワガママ言わないの!」


というわけで。
佐助と二人。




親方様も外出されたらしい。


「みゅー…」

テレビゲームもない時代。
すごくつまらん。


「朔那ちゃん?」

うずくまっていると、佐助が近くに座った。
む?

「なにそれ」
「旦那の着物。また破いちゃってさあ」

そう言ってチクチク縫いだす。
また…か。幸村ならあり得る。

「佐助」
「ん?」
「いらない布ある?」
「んーあるよ。旦那が破りまくって直せない着物とか」

それを持ってきて貰う。
それでハサミ変わりに苦無で布を刻む。


「朔那ちゃんもお裁縫出来るの?」
「できるよー」

チクチクと縫う。
幸村身体大きいから、布は十分にある。

「できたっと」
「早いね」

佐助は幸村の着物を縫い終わり、俺の手元を見てきた。
何が出来るかは内緒だ。


「器用だね」
「得意なの」

佐助が適当に部屋を片付ける間に手早く仕上げる。




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