「小太ー…」
「?」

小太は何故か木の上で遠くを見ていた。
なにしてるんだ。落ちちゃうぞ。


「降りてー」
『しゅたっ』



小太が降りてくる。
お前は佐助じゃないんだから木の上になんているなよ。

「これをこうしてー」

小太が用意した落ち葉の掛け布団。
それを小太と俺に被せた。

「!?」
「一緒に寝なきゃ寒いだろー」
『ぶんぶん!』
「いや、じゃないの!」


無理やり小太を宥めて、膝の上で縮こまる。

あったか幸せです。




この猫。

召し物は一級品ばかりだ。

口が悪いのは子供だからか、金持ちだからか。

刃物を向けられようが動じないのはどこかの殿の箱入りだからか、“まだ何も知らない”からか。

そんな猫は眠っている。





「んー…」

目を覚ますと、俺は落ち葉の上にいた。
あれ…確か。

俺は誰かと──


「──小太!?」

そうだ。
小太。
小太郎はどこだ?


まさか

「小、太……」

俺を残して、
どこかに




『つんつん』
「!」

肩をつつかれ振り向くと、小太がいた。

「小太!」
「?」
「どっか行ったと思ったぞ!」

飛び付いてみる。
こいつ身体細いなあ。


「どこ行ってたんだ?」

そう言ったら、木を指した。
また佐助の真似してたのかよ。


「え?この辺は獣がでるから」
『こく』
「俺を守ってたの?」
『こくこく』


なんと…!
どうやら佐助の真似じゃなくて本当に忍者らしい…。


「ならお礼しなきゃな」
「?」

戻れたら小太に旨いもん食わせてやろ。
政宗なら用意してくれるだろ。


「早く奥州帰りたいなあ」







『つんつん』
「ん?どうしたの?」

朔那が行きたいのは奥州?

「うん」


そう答えた瞬間、俺は小太におぶっていた。
え!


「お前、まさか奥州連れて行ってくれんのか?」
『こく!』
「小太ぁっ」

きゅううと小太の首を抱き締める。
お前、本当、


「ありがと…」
『にこ』


懐かしい匂いがする。
ここは、


奥州。


「ありがとう、小太郎」
『ふるふる』
「ちょっと待ってろよ、待ってなかったら殴る!」


ドタバタと走り、政宗のところに行く。


「政宗!」
「朔那!」


みょーんと飛び付く。
この広い胸が懐かしいぞ!
小十郎様もかけつけた。

「お前はまた…」
「心配したぜ」
「みゅー」

首に抱き付いて埋める。
俺は随分お前に懐いているらしい。

「俺の恩人がいるの」
「恩人?」

政宗に負ぶったまま外に導く。


「小太!」
「!」


小太がこちらを向く。
政宗から降りて、小太を引っ張る。

「風魔小太郎っての!口利けないから勘弁してな?」

そういうと政宗は。


「伝説の……」
「………」


「?」

伝説?


「政宗、こた───ッ」

不意に小太に突き飛ばされたと思いきや、政宗と小太が刀を交える。

えぇ!?

「な…」
「風魔小太郎は伝説の忍として恐れられている」

小十郎様も刀を抜いた。

小太、は、






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