きらりと光る、刃を向けても

猫は視線を外さず


全く動じなかった。





「慣れた……」

森でござる。
またね、森なんだよ。

「……進むか」

ここでじっとしてても仕方ないし。
ざくざく進む。


と、

「…」

なんかなあ
嫌な空気。

右足を浮かせた瞬間だった。



「───…!」


目の前に黒い刃。
先には男。


「…」
「お前」

男は顔を半分隠していた。
…落ち武者?

「お、俺、子供なんだけど……」
「……」

シカト?

「…俺、朔那ってゆーんだけど」
「……」
「お前は?」

問いかけても何も言わない。
むー。

こいつもしや。

「しゃべれないのか?」
「…」

そうなのかなあ。
どうなんでしょう。
きっと戦で喉潰されたり…こわっ。

あとその俺に向けてる凶器どうにかして。


…あ。

「ここにさ!」

落ち葉を退かして地面を晒す。

「?」
「名前、書いてみ?俺は、朔那」


その辺にあった木の枝で“朔那”と書いてみせる。

すると凶器で何か書いた。


風魔

「ふうま?」
『こくん』

小太郎

「こたろー?」
『こくこく』


風魔小太郎…かっこいいなおい。
朔那びっくりですよ。

「小太か」
「……」

なんだそのちょっと嫌そうな…。
いいじゃん、小太。可愛いし!
戦国って可愛い名前多いな!

「…でお前どしたのこんなとこで」
「…」

小太が俺を指差す。
朔那こそどうしたの?ってか

「俺は迷子。うん。お前は?」
『ふるふる』

小太郎さんは“大人の事情”だと黙秘権を執行した。

俺大人だっての!

「ま、言いたくないならいいけど」
「?」
「俺も色々あるから」

トリップとかね。
とりあえず帰らなきゃなあー。


しかしどこだここ。
まあとりあえず歩くか。




ざくざく歩いていく。
しかし景色変わらんなあ。

あと


「…」

小太がついてくる。
なんでかな。

「小太?」
「?」

振り向くと小太は首を傾げた。
なんでついてくるの、なんて


言えなかった。


だって、それは時に突き放す時の言葉になる。
小太が誰かに会いたくて会いたくて仕方ないときに現れたのが俺だったのかも知れないし(刃物向けられたけど)
そうだったら関わってしまった俺は、小太を突き放しちゃダメだ。


「暗くなったね、小太」
『こく』


もうここで休みましょう。
小太がそう言った気がする。


「…しかたないね…」

早く政宗に会いたいけれど。



「お前すごいな!」
『ふるふる』

いやすごいって!
小太ってばあっという間に火起こしてきのこ焼き始めた!
食料調達旨いな!

きのこも食べたし、眠い。







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