「……小十郎様は……」
「当分帰らないだろうな。…なんだ、小十郎の方が良かったのか」

政宗が踵を返して出ていこうとする。
お…大人気ない!
むー…。


「いっちゃや、だ……」


いっちゃ、まで言ったらしてやったりな政宗が見えたのです。
くそ…、にやにやするな。


「OK OK、猫はそんなに俺といたいか」
「くっ…」

不可抗力だ。
政宗は枕元に座った。

「……うつるよ」
「HA、そんなに柔じゃねぇ」

政宗が手に持っていたのはお粥だ。

「冷めてたからな。温めてもらった」


身体を起こされた。
胡座の上に乗せられ胸に凭れている状態になる。
お粥が少し掬われ、政宗が口に含む。
恒例の熱さチェックです。
重度の猫舌なんで…。味噌汁で火傷するくらいなんで…。
いつもは小十郎様がしてくれるけど。

「…これならお前でも平気だろ」
「あー」

口を開けると中に運ばれる。
お粥って…本当に味がしませんね…。



無事全部食べれた。
うとうとすると頬をぺちぺちされた。

「なに?」
「薬だ。飲んどけ、cat」

湯呑みを渡される。
茶色いお湯っぽい…。
うー…。
苦いからやだ…。

「…う…」
「朔那、」
「………」

湯呑みを見つめる。
水面に俺が映る。


「……はあ」


いつまで経っても飲まない俺から湯呑みを取り上げる。
こうやって取られると罪悪感だな…。


俯いていると、肩を叩かれる。
政宗を見上げると、なにやら口内が苦い。

……うん。


なんで?


「……」


理解に手間取っていると、政宗が笑っている。
なんでだ。
質問しか浮かばない。

「ちゃんと飲めたじゃねぇか、cat」
「……!」


やっと理解した。
理解してしまった。

「ば…、……ばか!」
「なんだ」

俺の初ちゅーが…!
初めてのちゅーが…!

奥手な俺はあっちでも手を繋ぐ程度しか出来なかったのに!
7歳児に…いや17だけど…とにかく!駄目だろ!
あ、でも13とかそこらで嫁さんもらう時代か…じゃあ7歳って結構…。


じゃなくて


顔が真っ赤になるのが分かる。
熱のせいじゃない。

政宗から離れて布団を被ろうとすると、襖が開いた。





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