いい気味だと笑っていると、幸村が俺を抱き上げ立ち上がった。
「にゅ?」
「落ち着いたところで、」
幸村の手が背に当たる。
「朔那をお館様に会わせねばならぬ」
「おや、かた」
親方…
幸村って、大工なんだ?
そう思ってるうちに抱えられたまま歩き出す幸村。
俺は歩けるのだが。
「幸村、おろして」
「嫌でござる」
こいつ…。
気付けば、虎。
視界に虎。
……なんだと!
「朔那と言ったか」
「…」
でかい、でかいぞ親方。
「朔那、大丈夫でござる。お館様は──」
となんやら激しく熱弁され、俺は親方と目を合わせた。
「朔那、と申します。以後よろしくおねがいします」
そう頭を下げると、上からでっかい手が降りてきて頭をひっつかんでわしゃわしゃやられた!
「ふぇっ…」
「ああ大将。朔那が潰れますよ、旦那と違うんだから!」
「おお、すまん」
どこからか降ってきたオレンジが止めてくれた。見直したぜ!
えーっと、
「にんじゃ」
「佐助ね、さすけ」
佐助が俺を抱える。
おい、またか。
「やだ!」
幸村!と言おうとしたら佐助ががっちりホールド。
ん?
「巻き込まれたい?」
「にゅ?」
視線の先に
「おおおやかたさぶぁああぁあ」
幸村の星。
え?
なにこの国!
fin.0808
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