二人が話してる間空気を読んで廊下にいます。
俺も学習しました!
追い出されるくらいなら、自分から出ます。
「では、失礼致します」
そう言って小十郎様が出てくる。
襖が開いた瞬間、政宗がチッチッと俺を指で招いた。
「終わったの?」
「ああ、こっちに来い朔那」
布団から身体を起こした政宗に近付く。
「お前小十郎を引っ掻いたな」
「……」
そんなことも、ありました。
「……ごめんなさい」
「言う相手は俺じゃないだろう?」
「にゅー…」
やっぱり小十郎様を怪我させたことで怒ってますかね…。
「HA、お前みたいなガキが引っ掻いたくらいで傷なんてできねぇよ」
またうにょーんと頬を伸ばされた、
じゃあ何ですか。
「ただでさえ俺を守れなくて凹んでるうえ、それで飼い猫に引っ掻かれたら余計に思うことがあるだろ。understanding?」
「意外にデリケートなんですね…」
ただでさえ自分責めてるのに、そのうえ俺に責められてるってことか…!
いやすみません小十郎様!
「謝ってきます…」
「行ってこい」
部屋から抜け出てまた小十郎様を探す。
お部屋ですかね。
「小十郎様ー?」
あ、いたいた。
いらっしゃった。
「小十郎様!」
「…朔那。政宗様が呼んでるのか?」
「違うよー」
近くに寄ってみました。
ちょっと、視線が違いすぎるのですけど。
目で訴えると少し戸惑ったあと、ひょいと抱えられました。
そのまま肩に移って肩車です。
小十郎様の肩車しゃれにならん…高い…。
「……で、何の用だ」
「あ、そうそう。右手大丈夫?」
「右手、?」
そう言って右手をだした。
うーん、畑仕事してるだけあって…あ、違うか。
「俺引っ掻いたじゃんね?」
「あ、ああ」
「それ謝りにきました。ごめんなさい」
顔を覗き込む。
ちょっと恥ずかしいから面と向かっては無理だ。
「政宗ー!」
「朔那。ちゃんと謝れたか?」
「もちろん!」
小十郎様の頭から手を振る。
そこから政宗に移った。
「よし朔那、飯でも食うか」
「!お腹空いた!」
「昨日の昼から何も食べてないみたいだしな」
ご飯、ご飯!
今の俺にはご飯しか頭にありません!
fin.0903
* * *
小十郎様は飼い猫に引っかかれたくらいで凹まないと思います…
←novel TOP