「…そこには女の生首が…!」
「ひゃぁあ!」
「朔那、あんまでかい声出すな」
「こわいはなしは叫んでなんぼじゃ!」
奥州からお送りしております。
今は良直、左馬助、孫兵衛、文七郎と怪談してます。
この人たち見た目が悪いけどなかなかいいやつだぜ。
「朔那、あんま夜更かしすると片倉様に叱られるぞ」
「まだ日は落ちたばっかだ!」
17歳の俺には早寝すぎる!
左馬助の胡座の上で蝋燭が揺れるのを見る。
さっき良直の上にいたけどあのリーゼント気になるから移った。
孫兵衛は腹がふかふかでした!
「次誰だ次」
わくわくしていると襖が開きました。
もう深夜なのに、誰だ。
5人で振り向くと…
「朔那……」
「でたー!!!」
「布団をめくったら偽物だったからな」
「むー」
出たのはオールバック小十郎様でした。
布団の中に枕を置いておいたんだけど、小十郎様にはバレました。
今は小十郎様に抱えられてます。
「まだ眠くないー!」
「寝ろ」
「やだー!」
暴れても無駄ですけどね!
着物の襟を掴まれ小十郎様が腕を伸ばせばキックすら届かない。
首根をつかまれた猫状態です!
「むー…」
小十郎様は厳しいです。
政宗と布団の中でお喋りしててもすぐ襖がすぱーんと開いてお休み下さい!って言います。
修学旅行の先生みたいです。
俺の部屋の襖が開いて、布団の上に寝かされました。
「早く寝ろよ」
「むー」
今日はひとりで寝ます。
たまにはひとりで寝ないと、政宗がいないとき俺が寝れなくてぐずって侍女さんが困ることを想定してらっしゃる。
これも小十郎様です。
俺17なんだから寝れますー!
「おやすみなさーい」
襖が閉じました。
むー。
目を閉じても眠気が襲ってこない。
そういえば左馬助の怖い話の舞台ってこんな部屋だったな。
…。
いや怖くない!
俺は大丈夫!
怖くないぞ!
…精神まで幼くなってるんですか!?
「みゅ…」
怖くてたまらないんですけど!
布団を頭まで被る。
怖い怖い!
ガタン、
「!」
なに今の…!
なんの音だ。
冷や汗が止まらない。
…
気のせい、だよな…?
ガタタッ、
「!!」
おいやめろ、やめてくれ…!
涙目になってきた。
ゴト、
「にゅ…!」
どうやら廊下からだ。
意を決して頭を出す。
それから肩
「……」
そぅっと襖を開ける。
誰もいない。
「…だよね…」
考えすぎだ。
もう一度布団に潜り込む。
もう寝ちゃおう!
さわ、
「……?」
今、なんか触った。
手に。
そこに目を向けると、
女の、生首。
『──そこには女の生首が…!』
「ふにゃぁあぁあぁあああ!!!」
これでもかと言うくらい絶叫すると、廊下が騒がしくなった。
襖が勢いよく開く。
「朔那!?」
「どうした!」
小十郎様と良直たちが駆けつけてくれた。
ぴょーんと小十郎様に飛びつく。
最近跳躍力が上がった。
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