デジャヴ。
森の中一人なんて、デジャヴ!!
「…ッ、」
でも今度は政宗みたいに見付けてくれる人がいない。
帰りたい。
甲斐でも奥州でもいい。
「…ふぇ…!」
この身体は幼すぎるため少しのことで涙が止まらない。
しゃがんで目を擦る。
しかし涙は絶えず溢れる。
「…ゆきぃ…、まさむね………けいじ…」
知ってる人を呼んでみた。
しかし聞こえるのは木々の音色。
「…ッ、ぇ、う…うっ…」
嗚咽が止まらない。
葉を握りしめる。
…佐助は忍者だ。
もしかしたら来ない、かな。
「さすけ…っ!!」
声を荒げて呼んでも、聞こえるのは木々の───
「佐助の、知り合いか?」
「にゅ…」
目の前に鮮やかな金色。
そして
………ちょっとせくしーな衣装。
「誰…」
「お前から名乗れ」
「…朔那…」
目を擦ると女が腕をつかんだ。
「目を傷付ける。私は、かすが」
「かすが……ちゃん」
「……かすがでいい」
かすが。
せくしーかすが、俺を助けて下さい。
「佐助を知ってるのか」
「俺、幸村と佐助のともだち!」
「……」
かすがが俺を見据える。
なんだろう。
「……あいつが世話を焼くなら、」
…前政宗も言ってたな。
佐助が相手をする=俺は大丈夫みたいな?
佐助そんなすごいのか。
「甲斐まで連れていってやらないこともないが、今はまだ謙信様の命を受けている」
「…けんしん、さま…」
…誰。
「一度、越後に来い」
記憶がないです。
抱きかかえられて目の前にたわわな…たわわな…!
くっ…俺は何もしらない。
「どうした朔那」
「いえ…」
今は何やら廊下に座らせられています。
この中に謙信様がいるんだってー。
で、謙信様ってあの上杉謙信なんだって。毘沙門天だよ毘沙門天。
「謙信様」
襖が開かれる。
中には美人さんがいました。
……女…?
「ごくろうでした、かすが。……こちらは」
「森で拾いました、甲斐の子供のようです」
「そうですか、かいの…。なはなんというのです」
かすががわき腹を肘でつつく。
この人の言葉なんか聞き取りにくい…えっと、名前だよな。
「朔那です、謙信様」
「朔那、ですか。いいなですね」
にっこり笑う謙信様。
綺麗だなあ。
…ん、かすが…?なんか赤いぞ。
「かすが?」
「!いえ、なんでもありません。どういたしましょうか」
「朔那、だんごがありますよ」
「おだんご!」
かすがの横から立ち上がり謙信様の横に行く。
謙信様がおだんごをくれました!
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