「血が、怖いか」


怖くない。

前まで平気だった。
いつから駄目になった。


──いつ、嗅いだ?


現実で、何があった。



脳裏に手が見えるが、なんだ。

動かない。
コンクリートに突っ伏している。


人が、叫んでいる。


───こわ、い。


「朔那」
「!!」

顔を上げると目の前に小十郎様。

「……政宗様はお前に触れたがっていたから」
「……」


においは、しない。





「……ん」
「目が覚めたか、朔那」
「う…」

視界にはイケメンさん。
…どうやら政宗の胸で寝ていた。

なにゆえ。


「眠たかったのか?」
「うー…」

多分目覚めたばかりだから、こんなに瞼が重いんだろう。
もう一度寝ようと体制を整え政宗の着物を掴むと、頬をぺちぺちと叩かれた。

「なんだよー」

目を擦りあくびをする。
頬に触れられた。

「機嫌は直ったか」
「うん」

開かない目で答える。
眠い、お腹空いた、


…眠い。


「ったく餓鬼だな」
「がきじゃなーいー」

頬を引っ張られる。

散々引っ張られた頬が離され、後頭部を持たれ肩口に頬があたる。


「寝ろ。夕飯には起こす」
「んー…」


ぽんぽんと背中を叩かれて眠気が襲ってくる。
鼻を擽るにおいは政宗の、匂い。



次に目が覚めた時一番にあなたに会えますように。



fin.0826

 * * *
だんだん幼児化になれてきています。
よきことよきこと



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