ちゅん、ちゅん、ちゅん。
雀が鳴いてる。
「ねぇ政宗ー」
「Ah-?」
「ごろごろしてていいのー」
ただいま朔那は政宗の部屋にいます。
政宗の部屋でごろごろしてる。
そして部屋の主もごろごろ。
「またサボると後がつらいよ」
そう言うと政宗が、舌をチチチと鳴らした。
「今日はなんにも言われてねぇ」
「うそー」
「小十郎にきいてみな」
ごろごろが気持ちいいからやだやだ。
「朔那ー」
「んむー?」
顔だけ政宗に向けると肘を杖に横になってる。
それから、舌でさっきとは違う音を鳴らす。
これは俺を呼ぶ音だ。
転がって近くにいく。
「お前、そんなごろごろしてると肥えるぞ」
「うるしゃい」
杖にしていない方の手で俺を構う。
頬をつねるのはやめたまえ政宗君。
「いひゃい」
「なかなか背は伸びねえな」
「むむむ」
トリップしてきたからね。
これは俺の真の姿じゃないのだよ。
政宗は起き上がり、胡座の上に俺を乗せた。
「横ばっかり成長してないかcat?」
「服に手を入れるな手を」
それに俺はまだまだ大丈夫だし!
子供なんだから多少ぷにぷにしてるのは真理。
「ちょっとーくすぐったいんですけど」
「ああ」
「聞いてます?ちょっと!」
真横に政宗の顔。
近いんだよお前は。
「てい!」
政宗の右側のほっぺを伸ばしてやる。
「てめぇ」
右側は見えないから不意打ち。
卑怯じゃないもん。
「右側狙うたァいい度胸だな朔那」
「ひぇっ」
眼がこわいよ眼が。
この独眼竜、なかなか短気だ。
「朔那」
「おあ!やめろやめろ!」
床に押し倒されてほっぺを伸ばされた。
足をばたつかせても届きやしない。
「政宗様、…………何をしておられるのです」
そこに小十郎様登場。
政宗が頬を離す。
「この猫が悪戯ばっかしやがる」
「政宗こそ!」
床に倒されてる俺と覆い被さる政宗。
両方が両方の頬を攻撃する。
「政宗様、朔那も。酷い顔です」
「離しやがれcat!」
「そっちこそ!」
ぐぬぬ。
両者が両者、譲らず仕舞。
「二人で一気に離せばいいでしょう」
「一気に!」
「よし、朔那。そうするか」
「仕方ない」
いっせーのーで。
「おい!」
俺離したのに政宗は離さなかった!
ずるい!
「HA!何とでも言え!」
「ずるい!」
「政宗様…」
小十郎様が溜め息をついた。
俺だってつきたいわ!
「朔那」
「むっ」
なにやら名前を呼ばれて政宗を見た瞬間。
ちゅっとやられてしまった。
「……おい」
「さぁて、そろそろ飯じゃないか小十郎」
「そうですな」
政宗は俺を胡座に乗せたまま小十郎様に飯だ飯だと言っている。
おまえ、ちゅーで全部俺が流すと思ってるだろ。
「まさ…ッ」
「なんだなんだ、足りないか。マセ猫が」
これ以上突っかかったら何が起きるかわからないからおとなしくしよう。
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