「真田幸村、朔那を全力でお祝い致す!」
「幸村と佐助!」
「HEY!なんでお前らまで知ってるんだ」
「俺様を甘く見ないでよね竜の旦那!ちょいちょい忍び込んでるんだから!」
「うちの忍はどうしてるんだ…」

右目が額を押さえた。
朔那を見に来たと言ったのか。
ここの忍は猫に弱い。



「政宗様、申し訳ありません」
「お前が謝ることはねぇ」
「そうそう、みんないた方が楽しいよね!」

朔那が楽しんでるようだし、と。
二人は来客を受け入れた。




「で──presentだが」
「む?」

朔那は独眼竜の膝の上で菓子を頬張っている。
ぷれぜんと。
相変わらず聞き慣れない。

「ちゃんと持ってきたぜ!」

鬼若子が出したのは大きな鮪。
朔那の身長くらいはある。

「おお…!」
「猫には魚だろ!」
「俺まぐろ好きだ!」
「猫だからな!」

鬼若子は満足げに言った。
その横で謀神が鼻で笑う。

「ふん、贈り物なら見た目にも気を遣わねばな」

そう言って出てきたのが

「金箔を貼った桐箱ぞ」
「おお…!」

桐箱には花が掘られており、そこにはふんだんに金箔が貼ってあった。

「あとは日輪の光を浴びに浴びた花ぞ」
「きれい!」


これまた豪勢な花。
下手したら朔那が隠れてしまいそうなほどの。


「ありがと、チカ、就様」
「礼には及ばぬ。日輪の恵みは……」
「とりあえずおめでとう、な。朔那!」


謀神はうんうんと頷くと、自らのぷれぜんとである花を数本抜いた。
それを輪に編む。

「就様すごいねー」
「貴様のために駒に訊いたのだ」

その輪を朔那の頭に被せ、首飾りになる。
にこにこと笑う笑顔に花がよく似合う。



「朔那ちゃん、こっちも見て見て〜」

猿が出したのは赤く染め抜いた手拭い。
若虎が興奮している。


「朔那のため某が染めたのだ!やはり手作りだと気持ちがこもるな!」
「旦那の好みで赤だけど、朔那ちゃん赤似合うから平気だね」


猿が器用に頭に巻く。
赤いそれが大きな猫の耳のようだ。

「ribbonみたいになったな」
「りぼんー!」


ぴょんぴょんと飛び跳ねる。
それに合わせてりぼんが揺れた。

「俺のも受け取れよ猫」
「なーにー?」
「小十郎」
「只今お持ちします」

右目が消える。
独眼竜は猫に構っている。


「お持ちしました」
「おう。朔那、受け取れ」

紙に包まれたそれは。


「着物!」
「赤いribbonによく合う色だ」
「あらら〜竜の旦那、これお高いんじゃ?」

紅葉色、と言ったところか。
独眼竜が着せようと脱がしにかかったがあっさり右目に止められていた。


『つんつん』
「小太?」

紅葉色の朔那に自らのぷれぜんとを渡す。
繊細な生地で作られた巾着。
遠いところで手に入れたものだ。

「ありがと!」
『にこっ』


朔那が喜んでくれてよかった。
小さな手が菓子に伸びる寸前で、また足音。


「祭りなら呼んでくれよ!」
「うきっ」

現れたのは風来坊。
ずかずかと上がり込んで菓子を口に運んだ。

「お前…」
「来たからには猫のpresentは持ってきたか?」

独眼竜が言うと、風来坊は懐を漁る。


「……あ、惚れ薬ならあった」
「Shit!地獄に送ってやるぜ!」
「政宗様!」







大宴会も終わりここは朔那の部屋。
朔那は疲れたのかぐったりしている。


「俺さー…あんな誕生日初めてだ」
「?」
「あんなみんながはしゃぐの。楽しかったなあ」
「……」

なら次も、みんなで祝おう。


「そだね!あ、政宗も、小十郎様も、幸村も佐助もチカも就様も小太も慶次も、みんなの祝えばいいよね!」
「……」

誕生日知らない人は?

「俺が勝手に決めるからいいの」

そう言って朔那は布団を被った。



「絶対みんなで祝おうね!」

約束の指切りをさせられた。


fin.0207


* * *
200000hityk様リクの「オールキャラで猫くん誕生日祝い」でした。
yk様ご本人のお誕生日がリク締め切り日だったのですね、おめでとうございます!
お祝いの意を込め一番始めに執筆いたしました。
あまりキャラ出すと私がパンクしてしまうので出来るだけ出しましたが如何でしょう。
とりあえず一番空気になりそうな小太郎の視点にすることで彼の空気化は免れたと思います…。

ではでは、リクありがとうございました



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