「御館さまああああっ」
ばしーんと襖が開く。
そこにいたのは親方様。
「御館様!これをご覧下さい!」
「ぬ?」
親方様の前に突き出された俺。
親方様がじっと見てくる。
「朔那がどうかしたのか幸村よ」
「大将。よぉくご覧くださあい」
「ぬぬぬ」
お…親方様?
「降参だ、幸村。佐助。朔那は朔那にしか見えぬ」
「これで御座います!」
幸村が尻尾をひっつかんだ。
「にゃあ!?」
「人の子であるはずの朔那に猫の耳と尾が表れたのです!」
「なに!気付かなんだ!」
気付かないのかよ!!!
普通主人公に耳尻尾生えたら色々イベントがあるのにここだけは例外なのかよ!
「朔那よ。気付かぬ儂を許せ」
「幸村も佐助も気付かなかったよ!」
「そうかそうか!よく似合っておるぞ朔那」
親方様にわしゃわしゃされた。
大きい手だなあ。
「顎がいい!あご!」
「顎とはまるで猫のようだ」
猫だよ!
「おお。御館様、尾が動きます」
「朔那ちゃんよかったね」
親方様と別れて、部屋に戻る。
佐助の上に座ったまま顎を撫でられる。
「今日の夕餉は魚だねぇ」
「俺なんでもいいよ!」
「きっと魚が旨いと思うよ」
佐助が顔を埋めてきた。
匂い嗅ぐな!臭くないぞ!
「佐助!俺も俺も」
「旦那子供みたいですよ」
「佐助ばっかり狡いからだ」
今度は幸村に抱き締められてしまった。
朔那モテモテ!
「今晩は俺と寝よう」
「仕方ないなあ」
幸村に頼まれちゃあな!
「……へくちっ」
なんだ……さむ。
「起きたのか朔那。尾がなくなっている」
幸村が俺の着物を捲っていた。
…。
「はれんち」
「む?」
それから数秒制止して。
「は…はははは!はれんち!」
「幸村がね!」
からかうように言ってやると、幸村は顔を真っ赤にして消えていった。
* * *
fin,1102
ねこぱにの甲斐版が見たいと要望があったので。
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