※みんな中学生







雨は好きだけど暗い色をした空は嫌いだわ。と隣を歩いているブルーベルが零したのにつられて空を見上げた。この間沢田さんに教わった日本語の『どんより』って言葉がお似合いな重たい空していた。

「ユニー、あんた大空でしょ、晴れにするパワーとかないの?」
「そんな力ありませんよ。それに晴れにするなら晴属性の方が適任だと思います」
「んむむー」

ブルーベルは学生鞄が濡れるのをさほど気にしていないらしく、歩き出してからだんだんと鞄の角が濡れて紺色がさらに濃くなっていた。私は先日図書室から借りた本が入っているので、濡らさないために今日は大きめの傘を差してきた。

同じ学校へ向かう生徒達が傘から垂れる滴をかけぬよう、またかからぬように上手くすり抜けて自分たちを追い越して行く。ガードレールがない通学路を車が通る度に生徒はタイヤが巻き上げる飛沫に注意を払い傘同士窮屈そうに人の波に従っていた。

「あ、ブルーベル!そっち水溜まりですよ」
「わ、ありがとユニ」
「どういたしまして」

上手くすり抜けられる生徒はもうとっくに学校に着いただろうか。それを諦めて友達とお喋りしながらいつもよりゆっくり歩きながら学校へ向かうものだから人の波はいっそう緩やかになる。雨の日は電車を一本早くしたほうがいいかな…なんてのんびり考えていると右隣のブルーベルが目を輝かせながら聞いてきた。


「そうだ、ユニ。最近びゃくらんに恋人できたの知ってる?」
「?知りません。ブルーベル知ってるんですか?」
「名前は知らないんだけど見たところ他校の男の子だったわ」
「どんな方か気になりますね」

白蘭に恋人ができたなんてちょっとびっくりしました。普段から親しくしている白蘭とは今まで通り、そしてもしよかったら恋人さんともぜひ仲良くしたいです。これはまたブルーベルと一緒に彼に色々と尋ねに行こうと思います

彼とその恋人の話で持ち切りだったときちょうど、少し高いところから声が聞こえました

「ユニにブルーベルおはよう」
「あ、びゃくらんおはよう」
「おはようございます白蘭」
「なに話してたのー?」
「びゃくらんのウワサしてたの。後で教室で話したげるから!」
「えーなに今じゃだめ?」
「後で!ほら行った行った」

じゃ後でね。と白蘭が手を振って先へ行くのを見送ったあとブルーベルは突然傘を閉じ始めたので慌てて自分の傘に入れた。どうしたのか聞くと彼女は、今日ずっとだったけど、と付け足して

「傘差してるとユニが遠くてそれが嫌なの」

重たい空よりも嫌いだわ。きゅっと近付いてきたブルーベルの殺し文句に頬が赤くなった。
3月の雨は2月に比べて温かく多少濡れても凍えないとはいえ、大事な友達を雨に濡らすわけにいかないと理由をつけて、大きめの傘の中で寄添い合いながら残り数分の通学路を更にゆっくり歩いた。
















2012.03.15

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