※現代から五年後、綱吉らが20歳くらい
別の世界のびゃくらんから飛んできたへんなのに当たってわたしは死んだ。
今またこうして車椅子に座ってしか行動できない姿になって生きている。
ユニとγは、命賭けでアルコバレーノを復活させたらしい。
殺そうとした相手に生き返して貰った。
悔しいけど…でもありがとうって言いたい。もし生きてるなら今度は友達として会ってお礼を言いたい。
わたしの元ボスはボンゴレに保護されながら今まで通りの生活を送ってる、ってボンゴレから聞いた…わざわざ敵に面会にくるなんて馬鹿な大人だわ。
「ブルーベルはその後どう」
「足以外は何不自由なく過ごせてるわ」
「ごめんね」
「わたしこそ」
ボンゴレは全力を尽くして足を治そうとしてくれたけど不可能だった。
医療班の中にも昔殺した人が居て「あの時はごめんなさい」と精一杯伝えると「過去のことだから良いですよ」だって。
綱吉もここで働く人もわたしがびっくりすくらい優しくて、ありがとうって泣きたくなった。世界の景色の一部のように霞み、特に目立たず
何も感じられなくて寂しがってたびゃくらんとわたしは似てるのかも知れない。
わたしは人生の途中から母親のぬくもり無しに生きるしかなくて、
あの人はずっと一人ぼっちで生きてきたのかもしれない。そんな勝手な空想をしただけでどうしようもなくあの人が恋しくなる。びゃくらんは自分の過去は話さなかったから。
水をかくのは得意だけど、どうも車椅子で前進するのは上達してないみたい。
押してもらえば楽なのだけど一人で考えたい……ユニ達がくれたチャンスを無下にしたくない。どうやっていこうかしら
背後から聞こえた声が、懐かしい雰囲気だったから兄かと思った。
「ブルーベル」
「………………………びゃくらん」
左車輪を軸に回転して向き直る。熱伝導の良いハンドリムが熱い、理由が一人の人間の訪問によるものだとは思いたくないから手は膝に置いた。顔に熱が集まる感じがする。
鼻の奥がツンとして痛いからワンピースがくしゃくしゃになるのも気にせず握りしめた。
陶器のように滑らかで透けるような白肌に血が集まって頬が染まる。
前と違って見えたのは青刺がないだけではなく、漂っていた寂しい雰囲気がずいぶん薄れたからだと思う。
ブルーベル。
会えて嬉しい。
久しぶり、びゃくらん。
わたしも嬉しい。
ハンドリムを握ろうとしたらびゃくらんに制されて、従って身を預けてたら車椅子をゆっくり押されて中庭に。
暑くないように日陰に入ってびゃくらんはわたしの隣に腰を下ろして、二人でたくさんおしゃべりした。
びゃくらんの今の生活、家族やお勉強のこと、これからどうしてくの、とかいっぱい。
「反省してるし、チャンスをくれた綱吉君達にもユニ達にも感謝してる」
「わたしもよ」
「ねえ、ブルーベル」
「なあに」
「君のパパとママは、」
「うん。パパはずいぶん前に出て行って、ママはびゃくらんと会う以前にわたしが殺したの」
「そっか…ならブルーベルが全て自分で決めれるね」
びゃくらんは三角座りをやめて
わたしの真正面にひざまずいてからこう言った。
ブルーベル、僕と結婚して下さい。
風に当たっていたハンドリムを今触ればきっといつも以上にひんやり冷たく感じるだろう。
「はい」
2011.08.12
一から、いいや、零からやり直そう