ユニブル





「姫、今はそっとしておこう」
「嫌です」

少しばかり強情になってきた若きボスにγはため息をもらす。数えてはいないがもう30近くついたであろう。

「その娘は弱ってる」
「えぇ、だから私が付きっきりで看てあげるんです。」
「は、姫…」

ユニの部屋のベッドには青く長い髪をした少女が寝かされている。否、起きるにも逃げるにしても衰弱しているし何より被せた布団で見えないが少女の手足は自由を奪われている。

「私とは違う世界を生きていたのですね…んー素敵、もっと話が聞きたいわ…」
「それは、姫にとっちゃ辛いことかもしれないぞ」
「いいえγ、そんなわけないわ」

だって、と続けながら青い髪の少女…ブルーベルの額を撫でる。その光景は、我が子を寝かしつける母というよりも一種の催眠術を試しているように見えてしょうがない。ため息32回目。

「あれだけ命どころか心まで狙われていた私が、ブルーベルを匿った理由がわかりますかγ」

小さく息を吐く。γは内心で やっぱり と呟いた。今ボスの直感が働いてなければいいが。





弱く見えても実の詰まった綺麗な子。私は髪が短いから、長い髪のこの子がうらやましいの、
でも、蒼い瞳はお揃いよね!よかった。
白蘭は人魚姫とか言っていつもお水に入れてたけれど私は違うわ!
水なんていう、私よりブルーベルに密着出来るそんなもの要らないのよ。そうブルーベル、目をさまして、
そして最初にわたしを見て頂戴。貴女が元気になるまで、私がずっと看て傍に居てあげる。もちろん纏わり付く水なんて一切近付けないわ!
必要なことならγやみんながしてくれる、私は貴女の望むことを聞いて、私はγたちに伝える。貴女は私と居るだけで幸せなのよ。だからじっくり、人を殺めていたころの話を聞かせて?貴女の生い立ちもなにもかも全て私に話して聞かせて頂戴!









「水…」
「え?何て言いましたかブルーベル、すみませんもう一度言って?」
「水が欲しいの、ユニ」

まあ大変!ブルーベルったら白蘭のところで水槽に沈んでたものだから毒されてしまわれたのですね!ほらもうお揃いの瞳に水が…水が!だめよブルーベル!それは取り除かなくては!

「ユニ、お願いよ!そ、そうだ一緒にシャワーを浴びましょうユニ!お願い、私…水を」
「ブルーベルはシャワーもなにもしなくていいわ!だってこんなに綺麗ですもの」
「ユニ…ちが、違うの。助けて」





まあ大変!ブルーベル今度は真っ赤な水に毒されてしまって!





いまが一番生き地獄だわ
















2011.02.11.
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