海に揺れてるのか、人工的な塩素を溶かした水溶液の中にいるのかはわからない。




舌を使って空気の輪を吐き出す、回転が緩むと泡球同士が手を離して、大小の泡になって水面へと上がっていくか、
捉えにくい程度に水に馴染む。

「限界まで吐き出したらブルーベルも消えれるか…な…」

円柱形の水槽に何の装備も無しに入り、浮かんでいく泡と広がる己の髪を見る。





一見自殺行為にも見受けられるが彼女は人間の域を超えていたので問題なかった。



円柱形の水槽の中身は海水なのか水溶液なのか…本当は高い天井のライトよりも、夜の月でも見上げたい気分だが今それは叶わない。

昔…、昔といっても月の満ち欠けが4度ほど回った前のこと

部活生が帰宅した後のプールでひとり、水着に着替えてブルーベルは佇んでいた。
設備の良い学校であったが内装に電子機器類が多く、プールだけは野外に作られていた。
おかげでみなもに揺れる満月が見れるなら良いものだとブルーベルは頷き、







、音を最小限立てて飛び込んだ。







先程、反射した月を見下ろしていた。
だから次は水を挟んで歪む満月を見上げたいと思った。























叶わなかった。

















目を開けると、眩しい光が瞳を刺した。
白いカーテンを揺らす夏の風と、
鼻をつく医療薬のにおいがする部屋だった。

大好きな水から引き離されて行く宛てがない。使い物にならない足を叩いても、なにも反応がない。
行き先も決まってないけれど、さっさとここから掬いだして欲しい。
















ねぇ、びゃくらん、


あんたのこと王子様だと思ってたのに。


人魚姫はハッピーエンドじゃないといけないのよ。














I am tired...





















王子様だと思った私が馬鹿だったわ…







泡になって消えたかったけど、
それも叶わなかった。




















2010.12.13.mon*
第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
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