入江誕





















首にかけたヘッドフォンからBPの新曲が洩れ流れている。しっかり耳につけるよりも、こうやって微かに聞こえる音楽の方が落ち着くことがある。
そういえば、と顔を上げてデジタル時計を覗くと最後に時刻を確認してから4時間ほど進んでいた。

喉の奥がねばつく…水分補給さえ忘れて没頭していたらしい。瞬きを数回繰り返すと水晶を潤す器官が激しく伸縮して痛くなる。
一気に涙が目尻から溢れたので眼鏡を一旦机に置いて袖で涙を拭った。

気を抜いてから、無意識にたまっていた負担が今更押しかけてきた。幸い腹痛はないので良しとする。

「…――ん、―…くあ、」

欠伸をすると、また視界が潤んだ。



さあ仕上げに取り掛かろうか…。
首にかかって小さく洩れていたはずの音楽は静かになっていた。
こうやって気が付いたときにシンとされると周りを見回したくなる。


何をするでもなく今まで作業していた低い机から立ち、ベッドへ近寄った。
寝慣れている(徹夜すると壁際とかで寝て朝目覚めるけれど)ベッドに腰を下ろして、そのまま上半身を倒して仰向けに寝転んだ。
固まっていた姿勢を包み込むマットの柔らかさに安堵する。

「ああ、そうだ、仕上げなきゃいけないな………。」


揃えた両足を振って、その反動で体を起こそう。
起き上がるイメージはあるのに実際足を振り上げるのが億劫だな…
低反発マットが僕の体重を受けて重力に従って沈む。意識も沈む。さっき眼鏡を机に置いてきた。


意識を手放す寸前に何か聞こえたけれど、そちらに意識が向く前に頭が蕩けた































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入江HAPPY BIRTHDAY!
何の作業中だったかはわからない。
ラストで部屋に来たのは多分スパナ。
10.12.03* 戻る
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