綱吉君、大丈夫だよね、また必ず君に会えるよね。


黒い棺の中で眠るボンゴレ十代目ボス、綱吉君――――。
彼が死んでいる、というのは嘘だ。彼に撃ち込まれた銃弾は『特殊弾』というもの。今回の決死の作戦の為にもっとも大切な作業だった。
過去から、中学生の綱吉君や家庭教師のリボーンが来る。そして僕を狙ってこのメローネ基地に来るのだ。
仮屍状態の彼は楽しみにしていることだろう、彼は言っていた...『もうすぐ、一番可能性を持った頃のオレが来る』


受け入れてもらえるだろうか。または、死傷者が出てしまわないだろうか。
この世界の綱吉君が言っていた通り、みんな多くの戦いによって急成長を遂げている。
「入江様、」
チェルベッロに声をかけられてハッとした。
「なんだ」
ボンゴレ十代目が此処メローネ基地に侵入した、との報告だった。
「突入部隊とはまだ連絡が着かないのか!?」
「申し訳ございません、入江様。」
ボンゴレのアジトも地下にある。その予想は合っていたハズだ。
しかし突入した場所は恐らくボンゴレアジトではない。罠にやすやすと引っ掛かり、――謹慎中のブラックスペル三番隊以外――大半の戦力を手放した。
手薄になったメローネ基地にボンゴレがくれば、圧制されるのも時間の問題だろう。いざとなれば、僕と白蘭さんとチェルベッロしか知らないメローネ基地の機能を使おう.........。


そう考えるのはメローネ基地を指揮する入江としての思考だ。
綱吉君と雲雀さんと僕で立てた作戦の通りにミルフィオーレ部隊は罠にかかってくれた。今頃は雲雀さんが突入部隊を潰滅に追い込んでるとこだろう。もうすぐ、もうすぐ始まるんだ…本当の戦いが。








パン、パンッ―――。
焦りの中を渇いた銃声が空気を叩いた。
「いり、江…様?」
ぱたぱたん、とずっと入江の隣をついていたチェルベッロたちが倒れる。周りには困惑が漂っていた。

「よくここまで来たね、僕は君たちの仲間だよ」
これを言えるまで長かった…。敵と見せ掛けて攻撃を繰り返して命の危機にさらしてしまった。
ここに来るまでが第一のゴールだったんだ。
「それでも聞いてほしい、今から始まる…本当の戦いについて……―――。」
第二のゴールは…

そうして彼らの成長は本人と家庭教師が言っていた通りに激的に加速した。初めて与えられた武器を使いこなし、操作の細かいバイクも乗りこなしてチョイスへと挑んだ。結果チョイスは無効となったものの、守る強さを秘めたボンゴレは被害を最少に留めるべく、アルコバレーノの姫ユニを連れ森へと辿り着いた。


そう、最初綱吉君が未来へ来た場所へ。
十年後の綱吉君が眠っていた場所へ。









――――白蘭と真六弔花の威力は圧倒的であった。しかし、守護者もそれぞれの思いを胸に戦った。暗殺部隊ヴァリアーも共に戦ってくれた。六弔花の中からも脱落者が出た。
死んだアルコバレーノを復活させる為に姫、ユニは命を張ってみんなを救った…愛した者の温もりを知りながら。




虹が消え、海が枯れた。
そう思われたが実際は違った。人間のものさしや計算では理屈の合わない、言えるなら奇跡という力が働いた。中学生の綱吉君とその守護者、そして守るべきものを無事に過去へと送り届けることが出来た…。

「―――うん、彼なら一足先に上に行ってるよ。」







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ずっと前から書きはじめてたのをやっとあげました。アニメが見事に終わってしまいましたがこれからもリボーン大好きです。実はひっそりと十年後沢田語らいの部分あるんです。わかりずら。

お粗末様でございました。
2010.9.25*
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