03 第七官界彷徨


 ゆうに五分は経ったと思う。漸く二人は顔を離したが、至近距離にある宇髄の表情にはすっかりと欲が浮かび上がっており、唇は唾液で濡れ光っている。そのあまりの色気に、つい見入ってしまうと、また軽くキスされきつく抱き寄せられた。
「はっ……はあっ……うずい……?」
「こうしてても、しょうがないもんな。車、出すわ」
「待て。……もうちょっと……」
 義勇の強請りをなんと思ったのか、今度は激しく奪うように唇を塞がれ、それに驚き口を開けるとくちゅ……と音を立てて宇髄の舌が咥内に入り込んでくる。それに驚き思わず「んっ……!んん、ンッ!」と声を出してしまうと、それさえも奪うように宇髄の舌が義勇の舌を絡め取るように動き、唾液を啜られる。ぢゅぢゅっと音がして、後、その舌はくちゅくちゅと音を立てながら上顎を舐めたり、頬の内側を丁寧に舐め舌の下まで宇髄の舌が入り、散々荒らし回され、そのあまりの快感に義勇が肩で息を始める頃、ふっと唇が離れて行き、すっかりと熱くなった身体を持て余し、義勇が荒く呼吸を繰り返す様を近くで見つめてくる。
「んっ、はあっは、は、はっ……宇髄……はあっ、カラダ、熱いっ……」
「義勇……」
 二人きりの時でしか呼ばない下の名前で呼ばれ、また強く身体に腕が巻き付いてくる。今日の宇髄はどこかおかしい。やはり、なにかあったとしか考えられないが、それを問いただすほどの関係でもないし、もし問いただしたとしても、宇髄は答えてくれないだろう。
 その代わりに、義勇からも宇髄の背に腕を伸ばし、二人は硬く抱き合った。宇髄からはいいかおりがして、目を瞑って堪能しているとそっと、身体が離れてゆく。
「……行くか。腹減ったもんな、うどん……食いに」
「あ、ああ。そうだな、ここでこうしてても……仕方、ないし。ホテルでしていることもできないし」
 そう義勇が言うと、一度は離れた身体がまたくっ付いてきて、すんすんとにおいを嗅いでくる。
「いいにおい……はあっ、ずっとこうしてたい」
「やっぱり、なにかあったんじゃないのか?お前がこんな……」
「俺だってこういう気分になる時くらいある。だって、お前……いや、いい。ホント、いい加減行かないと。じゃ、車出す……」
 エンジンのかかった車は、まるで名残惜しむかのようにゆっくりとその場から動き始めた。
 名残惜しんだのは、一体どちらなのだろう。義勇はそっと指を唇に当て、目を瞑り先ほどの宇髄の唇の感触を思い出していた。きっと一生、忘れないであろう初キスは、思ったよりもずっと甘くて気持ちよく、そして切なかった。

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