02 紅藍の閃光


 学校へと到着してすぐに職員室へと向かい、鞄を置いて足早に用具室へと向かう。鱗滝の手伝いをしなければ。慌てて向かうと、ちょうど鱗滝がほうきを手にしたところに出くわし「鱗滝さん!遅れました。おはようございます」と声掛けする。
「義勇か、おはよう。いいんだぞ、わしの手伝いなど。お前は今はただの一教師だ。もっと他にやることがあるだろう」
「いえ、少しでも助けになればと思っているだけです。その……鱗滝さんにはお世話になった身です。返そうとしても、返し切れない恩がありますから」
「そうか。それはそうと、今日は随分と洒落た格好をしているな」
「に、似合いませんか」
「いいや。とてもいいと思う。生徒も若者だが、お前も充分に若い。少しくらい洒落た格好をしたっていいと、前々から思ってはいたがな。うん、よく似合っている」
「そ……そう、ですか。ありがとう、ございます……」
 照れを隠すように礼を言ってほうきを持ち出し、鱗滝に花壇から校門にかけての掃き掃除を始めると言って早速、校門へと向かう。風紀委員の顧問もしているので、掃き掃除は早めに終わらせなければ生徒が登校してきてしまう。
 せっせと掃き掃除を済ませ、職員室へと戻ってバインダーを持ち出す。そこには校則違反を犯した生徒の名とクラス名などを書き込むために持ち歩いているものだ。
 先ほど掃き掃除を終わらせた校門へと向かい、早速風紀委員と共に生徒たちがぞくぞくと登校してくる様を見ていると、妙に心臓が高鳴り始めた。
 このままここにいると、宇髄に出会ってしまう。その時、己は正気でいられるのだろうか。自信が無い。職員室へ戻ろうか。そう思ってバインダーを生徒に渡そうとしたところで、大きな男が歩いてくる。宇髄だ。遠くから見ても分かる。
 思わず後ろへ下がってしまうと、宇髄はかったるそうにゆっくりとこちらへ向かって歩いてきている。逃げるなら、今しかない。
 だが、さっと背を向けたところで宇髄の義勇を呼ぶ声が背中に飛ぶ。
「よお!冨岡、おっはようさん」
「う、宇髄……」
「お、早速着てきたな。やっぱ似合うな、服。すっげかわいい。めっちゃくちゃ似合う。かわいいな、オマエはやっぱ。ってか、頭いてー!二日酔いの頭痛って独特だよな。お前もそう思わねえ?」
 義勇は返事ができなかった。そのまま後ずさると、義勇の様子に異変を感じたのだろう、宇髄が手を伸ばしてきたのだ。
「冨岡?どうしたんだよ、なんか言えって」
 宇髄の手が、義勇の手首を掴む。その途端、まるで焼きごてでも押し当てられたような熱を感じ取った義勇は思わず思い切り振り払っていた。
「っ離せ!」
「義勇……?」
 払った宇髄の手は、ぶらんと力を無くして落ちたと思ったら強引に背に腕が回され、抱き寄せられようとするその腕から逃げようと格闘を始める、その二人の異変を感じ取った生徒たちが次第にざわつき始める。
「冨岡!なんだよ、どうしたってんだ?ふざけんな!その態度はどういうつもりだ、冨岡!」
「せ、生徒が見てる!離せ、いいから……離せ!!」
「おい、冨岡!……義勇!義勇!」
 義勇は何度も呼ばれる名から逃れるよう、その場から全速力で走って校舎へ飛び込んだ。

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