「今日なんの日か知ってる、勝家くん」

まじめにカリカリ勉強していた勝家くんは、わたしの言葉に顔を上げた。しばらく考え込んだあと眉をひそめた勝家くん、どうやらわかっていないらしい。それはいい、が何も言わないので少しイラっとした。

「ねえ」

ちょっとムッとした声を出すと勝家くんはおびえたようにびくっとした。わたしそんなに怖いかな。

「…わかりません」
「猫の日だよ、猫の日」
「はあ」

返事に困った勝家くん、まただんまりを決め込む。なんでこう、勝家くんは話を盛り上げるということを知らないのか!まあいい、猫の日にかこつけて勝家くんにやらせたいことは山ほどある。

「にゃあって言って」
「えっ」
「言って」

勝家くんは恥ずかしそうに目を泳がせた。いいから言って、と頬杖をつき勝家くんを凝視。泳がせた視線がわたしと合えばまたそらされた。男気を見せろよ勝家くん、いいからさっさとにゃあんと鳴きな。

「にゃ、にゃあ」

か、かわいい!照れくさそうに言うのがまた、いい!さっさと言えなんてイラ切れていたけど、かわいいから許してやろう。よし、次は。

「もっかい」

わたしは勝家くんが油断した隙をついて勝家くんに猫耳を装着した。戸惑う勝家くん(猫耳つき)、やばいかわいい。

「…にゃあ」
「ほかにないの」
「……」
「なまえさんとエッチなことしたいにゃん、とか」

まあた俯いて黙りこくる。なに頬染めてんだてめぇいっつもいっつもエロいことされてアンアン喘いでるくせによお!ねえねえと頭をぐりぐり。勝家くんはちらっとわたしの頬を見てまたいっそう頬を赤くした。

「言ーえーよー」
「……その」
「じゃあ一生セックスなしね」
「それは、」
「じゃあ言え」
「……なまえさんと、そ、その、エッチなことがし、したいで…」
したいですぅ?違うだろボケ
「エ、エッチなことがしたい……にゃん」
「よろしい」

わたしは勝家くんからシャーペンをひったくって、五ミリ芯の先でカリカリと服の上から乳首をひっかいた。みるみるうちに勃ち上がる勝家くんの敏感な乳首。猫耳をつけて甘い声を漏らし始めた勝家くんがかわいくて仕方がない。ただひとつ注文をつけるとすれば、

「せっかくだしにゃんにゃん喘いでよ耳つけてんだからさ」
「それは、どういう」
「にゃーん気持ちいいにゃーん乳首いじられてこんなにも感じちゃってる私は淫乱ですにゃーんみたいな?」

言いたくないのか乳首をいじっても歯を食いしばるばかりで声を上げてくれなくなった。ちくしょうめ。正直声を上げないように我慢する勝家くんは最高にかわいいのだが、ちがうそうじゃない!わたしは文字通り勝家くんににゃんにゃん言ってほしいのだ。

「ねーえ、勝家くん?」
「……」
「つまんない。もういい。帰るね」
「あっ、」

甘ったるい声で甘えても知らん顔をされたので突き放す作戦に出た。勝家くんはこれに非ッ常ーに弱い。寂しがり屋の勝家くんは嫌われるのがこわいのだ。わたしの予想通り、わたしがすくっと立ち上がって出て行こうとすると勝家くんは慌ててわたしの腕をつかんだ。わたしに向けられた怯え焦った表情がたまらない。なんてっまって猫耳つきだ。捨て猫みたい。かわいすぎ。

「わかりました、から…」
「ほんと?勝家くんだいすきよ」

わたしはそう言うと後ろから勝家くんに抱きついて、さらさらの髪に頬を寄せた。ごめんね勝家くん、あれ、勝家くんがいちばん嫌いなやつだってわかっててやっちゃった。許してね。まあかわいい勝家くんが見れて幸せだったけど。

「なまえさん」

勝家くんはほっと息をついて、首に回されたわたしの腕に手を添えた。わたしは勝家くんが油断したところで乳首を引っかいた。落ち着きを取り戻しかけていた勝家くんの乳首がまた首をもたげはじめる。

「あっ…」
「にゃんって言って、ね?勝家くんどう?気持ちいい?」
「あ、ん…気持ちいいです…にゃあ」

やばいこれかわいすぎる。

「なまえさん、」
「なあに?」
「も、ものたりない、にゃん」
「え、なに?」

勝家くんがもぞもぞ動いてわたしの方を向いた。頬は赤いが瞳はいつものようにうるんでいなくて据わっている。なんだか背筋がぞわっとした。

「あなたがほしい」

わたしが、わたしが押し倒された。猫耳つきの勝家くんに。逆でしょ、逆でしょ!猫耳つけてなにしてんのこの子、なんでわたしを押し倒してるの!いつもわたしが上なのに。突っ込まれても主導権は渡さないのに!

「勝家くん、なにして…」
「あっ、すみません…あなたがほしい、にゃん」

なにがにゃあんだ狼じゃないか!