勝家くんは、かわいい。
オカッパ頭がすごくかわいい。それに、顔立ちだって申し分ない。色白でほっそりしていて、背は高いけど、なにより仕草が逐一かわいい。かわいい子にはかわいい服を着せて、かわいいことをしたい。

「勝家くん、これ、着てみてよ」

勝家くんみたいにかわいい子を女装させない手はない。わたしは持ってる服の中でいちばんかわいげのあるワンピース(買ったはいいが一度も着ていない)を突き出した。勝家くんはなにがなんだかわからないといった顔をしている。やっぱりかわいい。

「なまえさん、こ、これはなんですか」
「なにってワンピースだけど。着てよ」
「ですが」
「いいから」

勝家くんはそうそうわたしには逆らえない。勝家くんは渋々ワンピースを着た。あれっ?わたしより似合ってない?そういうところはちょっとムカつく。腹いせのつもりでタイツを投げつけてやった。履いてよ

「えっ、と」
「タイツも履いて」
「…これは、なまえさんがいつも履いているものでは」
「そうだけど、何」
「……」

勝家くんがタイツを凝視したままごくりと生唾を飲むのが聞こえた。えっ、ちょっ、もしかして興奮してんの?やだ。
勝家くんは慣れない手つきでタイツを履いた。うっわあ、足ほっそ。

「これでいいですか」
「うんうん、かわいいかわいい。すっごくかわいい似合ってる!」

わたしより!勝家くんはべた褒めされると恥ずかしそうに目をそらした。そこ照れるところじゃないんだけど、まあいっかかわいいし。

「じゃ、出かけよっか」
「えっ」