サスケにああやって言われたのは、初めてバックでヤったときだった。
「お前、背中剃らねえの?」
もやがかっていた頭の中から快感とかがすうっと引いていった。すっかり忘れていたのだ。腕も足も脇毛も全部、綺麗に剃ったのに背中を忘れていた。まあいいけど、サスケはそう言ったけどわたしは恥ずかしくて気が気じゃなかった。その日のセックスは全然気持ちよくなかった。脇毛もすね毛も生えっぱなしのサスケが恨めしかった。

ドラッグストアのカミソリコーナーで、わたしはうんうん唸っていた。ふつうのカミソリで、背中を剃るのは怖い。ていうか、自分じゃとても届かない気がする。サスケもびっくりの体の固さを誇るわたしにはたぶん無理だろう。除毛クリームも綺麗に塗れなきゃ意味がない。
「おい、なに見てんだよ。早くしろ」
シャンプーの詰め替えに、制汗剤とコンドームを抱えたサスケが後ろからわたしを蹴った。元はといえばシャンプーを買いに来たサスケに付いてきただけだったので、あれやこれやと悩んでいるわたしにサスケはイラついているようだ。
「だって、サスケが背中剃れって言うから」
「は、剃れなんて言ってねえよ」
わたしもイラっとしてサスケを蹴った。サスケが手にしていたコンドームの箱が落ちた。わたしはサスケに蹴りを入れたことを後悔した。
「なんなら」
サスケは落ちたコンドームの箱を拾おうとしゃがんだ。箱を拾ったサスケは立ち上がる前にわたしを見上げた。サスケの上目遣いとか、なんか気持ち悪い。
「俺が剃ってやるけど」
下心見え見えなんですけど