サクラ視点



高2になって同じクラスになったなまえちゃんは、かわいくてとてもいい子だった。だけど、私はどうしてもなまえちゃんを好きになれなかった。なぜって、なまえちゃんはサスケくんの彼女だから。私は中学の時からサスケくんが好きだったのに、サスケくんは一年くらい前突然なまえちゃんと付き合いだした。
「うわっサスケ、なんだってばよ、キティちゃんなんかつけて」
廊下でナルトとサスケくんがたむろしていた。サスケくんが気だるそうにいじるケータイにぶら下がっているストラップを、ナルトが大げさにからかっている。あ、あれ、なまえちゃんのケータイにもついてる、やつ。
「あ?この間買ったんだよ、ご当地キティ。なまえが欲しいってうるさいから」
「なまえちゃんと旅行行った時のやつかよ」
「おう」
「いいなあ、羨ましいってばよ」
なまえちゃん、サスケくんと旅行行ったんだ。醜い感情がむくむくと湧き上がってくる。私だって。あんなかわいい彼女がいて、しかも旅行に行くなんて羨ましいとナルトに言われたサスケくんは心なしか嬉しそうだった。私だって、私だって。
「そういえばサスケ、ラブホ行ったってマジかよ」
「は?なんで知ってんだよ」
「そんなんいいから、なあなあ、どんな感じ?」
私は足早にその場を去った。こんな顔サスケくんに見られるわけにはいかないし、あの場にあれ以上いられる気がしなかった。私はきっと、とてもひどい顔をしている。早くここから離れて、校門を出て、さっさとうちに帰ってしまおう
「あ、サクラちゃん」
向かいからやってきたのは、なまえちゃんその人だった。笑顔でかけよってくるなまえちゃんに急いで笑顔をつくった。作り笑いは得意なのだ
「サスケ、知らない?」
ちゃんと笑えているのかわかりはしなかった。
「さっき、あそこで見た、よ」
指差したのはさっきサスケくんがいた場所とはまるで反対の場所だった。こんな最低な女だから、サスケくんは私を選ばなかったのか、そりゃ、そうよね。