ホモ要素(新荒)あり







新開は、バイだそうだ。
私に告白してきたときのセリフは、「バイだけど、付き合って」だった。ホモだけど、じゃなかったからまあいっかと了承した私も私だが。イケメンだし、背も高いし、別に文句もない。新開と私は、普通にキスをしてセックスをして、普通に恋人らしいことをしている。

「みょうじ、きもちいよ」

ほら、こんなふうに。
新開とのセックスは嫌いじゃない。新開みたいに自分本位でない人はなかなかいない、と思う。チンコの大きさも悪くない。前の彼氏はデカすぎて痛かったし、その前は小さくて物足りなかったから。

「ん、あたしも…」
「はあっ、俺、もうみょうじじゃないとだめかも」
「…荒北としてるのに?」

新開にケチをつける気はないが、荒北との関係を隠しているのはいかがなものかと前々から思っていたのでつい口にしてしまった。私は男に嫉妬はしないからべつに、なんとも思わないのだが、たぶん荒北は何かしら思っている。おそらく新開は私のことを荒北に言っていないのだと思う。私は荒北のことを責め立てるつもりもないが、新開を手放す気もない。

「…バレてた?」
「まあね」
「怒ってる?」
「ううん、べつに」

私に突っ込んだまま困ったように頭を掻く新開がなんとなく面白かった。

「まあ、成り行きでね」

荒北がかわいくてつい、だそうだ。新開らしいといえばらしい。元々新開はこういうことに節操のない男だ。

「女の子はね、みょうじだけだよ。これほんと」
「どうだか」
「信じて」

新開の厚ぼったい唇でキスをされる。この唇で、新開は荒北とキスしたのかなあ、と考える。あ、間接キスだ。荒北の柄の悪い顔が浮かんだ。荒北も私と同じように新開とキスしてセックスしたのか、と思うとなんだか親近感すら沸いてきた。同じ釜の飯を食った、ならぬ。

「みょうじは物わかりがいいよね」
「理解があるって言ってくれない?」
「靖友はちょっとね、頭が固いからさ」
「人より少し愛と性欲が多いだけ、だっけ?ちゃんと説明したら」
「性欲は余計だな」

はは、と笑った新開は汗ばんだ髪をかき上げて思い出したかのように腰を振り始めた。勝手に出る嬌声を知らない振りして私は荒北のことを考えていた。荒北も、こんなふうに喘ぐんだろうか。だとしたらちょっと、聞いてみたい、かも。
ヤることヤって後始末をする新開に、荒北とのセックスってどんな感じなの?と聞いてみた。新開のせいで男同士のセックスになにも思うところはなくなったけど、興味はあった。それが同級生なら尚更だ。
少し考えた新開は、はにかんで、

「ああ見えて結構、かわいい声出すよ」

と言った。
私は初めて、男に妬いた。