すきだから、殺したい。

マッドだろうがクレイジーだろうがどうでもいい。俺はなまえを殺したい。どうせいつか死ぬなら殺したい。捨てられる可能性が一縷でもあるなら殺したい。この、俺の手で。

「死ね」

やめて、となまえは泣くと思った。だがなまえは泣かなかった。壁になまえを縫いつけて、首をぎゅうぎゅう絞めるのに、ぴくりともしないなまえに俺は苛立ちを隠せなかった。なんか、言えよ。

「なんだよ、おまえ」
俺が殺してやるのに。俺が殺してやってるのに。なんだよおまえ。なんか言えよ。

「今ここで死んでも、いいのかよ」
「べつに、あたしはサスケに殺されても、いいんだよ」
ああ、好きだ、となぜだか思った。

「だけどサスケ、きっとサスケ後悔するよ。寂しくて寂しくて、泣いちゃうよ。あたしがいなくて、寂しくて、サスケきっとすぐに死んじゃうよ。それでも、いいの」

なまえが、いなくなったら。

「それでもいいなら殺して。あたし、サスケに殺されるなら本望だから」

腕の力が自然と抜けた。するとなまえの腕がするりと伸びてきて、俺を捕らえた。甘い匂いがした。ぎゅうと抱きしめられると、肩の荷がすっと降りたような。なまえ、なまえ、どこにも行くなよ。俺を裏切ってくれるなよ。

「サスケ、」
なまえの頬が胸板をくすぐった。ほかはなにを失ってもよかったんだ。だがおまえだけは

「死ぬときはきっといっしょだわ」