「あんたさ、」
左右田は私の肘を舐めるのに徹しているので返事はない。私はくすぐったいだけなのだが当の左右田はやけに興奮しているようだった。
「なんちゅー性癖持ってんの」
骨格が好きとかどうかしてる。どうせ触るならもっとあるだろう、場所が。
「うっせえな」
「あたしのない胸には用はないと？」
うぐ、と左右田が言葉を詰まらせた。どうせなら、どうせならそっちにしてほしい。それなら私もノってくるのに。
「あ、や、そういうわけでもなくて…」
「どういうわけよ」
「その…胸は…」
「何」
股間にテント張っといてよく言うわ。どもる左右田の股間を足でいじくる。小さくうめきを漏らす左右田を見て、少なからず興奮はする。
「何よ、早く言いなさいよ。悪かったわね、金髪美女でも巨乳でもなくて」
「ち、ちがうって！」
「だから何よ、そんなに骨格がいいなら骨格標本でも買ってきて舐めときなさいよバカ」
「だから！緊張すんだよ！胸は！！悪いか！！」
なんだそれ。童貞かよ。しょうがないか、ついこの前まで童貞だったし。
「素人童貞」
「うるせえ！童貞じゃねえし」
「あたしで卒業したくせに」
「うっ」
「いいから早く触んなさいよ」
うじうじする左右田がうざくなってブラウスのボタンを外した。露わになった私の胸に左右田が生唾を飲むのがわかる。どうだ左右田。骨よかよっぽどいいに決まってるわ！
「お、お邪魔します…」
慣れない手つきで胸を揉まれる。特に気持ちが良いわけではないが、気分はいい。ノってきた。いつまで経っても素人童貞なコイツに付き合うのもまあ悪くはない。
「ん…結構いいかも…」
「お、おう…あ、あのさ」
「なに」
「こっち、触っていい？」
つう、と左右田がなぞったのは私のうっすら浮いた肋骨だった。
「死ねばいいのに」
左右田は返事も聞かずに行動に移していたが。なんだかんだで悪くはないのは黙っておこう。