休み時間、次の授業の準備を終えて隣の席のみょうじに何気なく目をやると、もごもご口を動かしてなにやら食べているようだった。
「あ、」
ぱちりと目が合う。人のいいみょうじはふにゃっと笑った。
「たべる?」
みょうじが手にしていたのは色とりどりの金平糖だった。ピンクや白のかわいらしいそれはやけに彼女に似合っている。
返事をする前に無理矢理押しつけられた。濃いピンク、薄いピンク、白。花のようだ。俺が手にすると何か違う感じがするが。
「…ありがとう」
「なんか、金城くんが持ってるの、かわいいね」
みょうじはそう笑うと席を離れてしまった。あの発言の真意は図りかねるがひとまずもらった金平糖を口にすることにする。不思議な甘さだ。忘れられそうもない。