清多夏くんは、お堅い人だ。良くも悪くも。紳士的でとてもいい人。私はそんな彼が大好きだ。キスはおろか手を繋ぐことにすらかなりの時間を要したけれど、それは私を大事に思う故だった。そんな優しい彼が好き。でも少しだけ不満だった。私は清多夏くんと手を繋いだりキスしたりしたい。それ以上のこともしたい。だけど彼はなかなかしてくれない。私を大事に思ってくれているのは嬉しいけれど、私は清多夏くんともっと恋人らしいことがしたい。エッチなことがしたいのだ。
「清多夏くん」
だから今日の私はいつもより大胆だ。自分からキスをした。自分から清多夏くんの手を腰に回した。わざとらしく胸を押しつける。清多夏くんの顔が赤い。かわいい。でもその目は色っぽかった。興奮してくる。
「みょうじくん、」
こんな破廉恥なことを、と清多夏くんは言う。どうして?恋人同士がこういうことをするのは普通でしょう。そういうと清多夏くんは黙ってしまった。
「触って」
清多夏くんの手を私の胸にやる。彼が生唾を飲んだのがわかった。こんな私のない胸に興奮してくれるならこれほどありがたいことはない。てっきり揉んでくれるのかと思ったけれど、清多夏くんはその手を恐る恐る私の頬にやった。
「みょうじくん、ぼ、僕は…」
「だめ?」
清多夏くんはびくっとして私から手を離した。女の秘技上目遣いはなかなか効果的なようだ。ぐっと清多夏くんに近寄る。いつもは爛々と輝く清多夏くんの目が揺れている。
「ね、セックスしよ?」
私をめちゃくちゃにしてよ。清多夏くんの何かがぷつっと切れた音がしたような気がする。計画通りだ。