新開が失恋したらしい。伸びていた襟足が切られていた。女々しいと思った。
「結構好きだったんだけどな」
さっぱりした襟足に手をやる新開が憎い。この遣り取り、何度目だと思ってるんだ。構い過ぎるのも駄目らしいんだ。新開が辟易したように言う。あ、そう。学習してないのはお前だろう。
「そんな女、別れて正解だったんじゃないの」
そう言っておけばいいみたいな風潮。私は何も考えなくて済むし、新開は欲しい言葉を貰える。万々歳。
「君にしておけばよかった」
「…嫌よ」
どうせ今までと同じようになるのだ。私が捨てるか、彼が捨てるか。今までずっとそうだったんだ。変わる訳が。
「君となら、」
厚い唇が近づく。また別の女に寝返るくせに。