テーピングのされた左手の感触に目が覚めた。頭の下には硬い腿。要するに膝枕をされているようだ。ゆっくりと視線を上にやれば珍しく優しげな表情を浮かべ私の髪を撫でる緑間。
「起きたか」
私が起きたことに気付くと彼の表情は途端に真面目になるものだから笑えた。
「まだねむい」
このまま起きてしまうには惜しい気がしてそう言った。彼は少々不躾にならこうしていろと答えたが眼鏡の奥の瞳は満更でもなさそうだった。