おいしい、とみょうじは一言花の咲いたような笑顔で言った後黙々とうどんを啜り始めた。母親の作った手打ちのそれを、彼女はあまりにもおいしそうに食べてくれるので悪い気はしない。
「髪、」
器に入りそうになっていた彼女の長い髪を避けてやる。口の端にネギをつけ、頬をパンパンに膨らませるみょうじを、可愛いと言わずになんと言おうか。
「ん、」
「喋るなら食ってからにしろ」
ハムスターのようにもぐもぐと口を動かし、ごくりと口の中のものを飲み込んだみょうじは何とも幸せそうだ。
「海堂くんのお母さんすごい」
自分の分も早く平らげてしまおうと箸を動かす前に、みょうじの口についたネギのことを指摘してやった。顔を真っ赤にするみょうじがまた、可愛い。