この人は、本当にそういうことが巧いっていうか。一体全体どこで練習したんだって言いたくなる。まあ、彼が女性経験豊富なことくらいは承知だが。筋肉質な腕に抱かれ、厚ぼったい唇で啄まれる。扇情的な瞳。垂れ目ってエロいな。すっかり絆されてしまった私は、文句も言わずにされるがままである。満更でもない。少しだけ目を開けて、私の唇に夢中の彼を見つめる。
「なまえ、別のこと考えてるね」
新開がそう言った。見透かしてやがる。吐息が唇にかかる距離なのが、なんだか。
「今は、俺のことだけ考えてくれよ」
「別に心配しなくても、」
新開のことだよ。その言葉は新開が食べた。