「もしもし、三成くん?あのね、今日合コン行くの、うん、数合わせだって。え?うん、日付変わる前には帰れるよ」
目の前で楽しそうに彼氏に電話をかけるなまえは、周りの恋人持ちの中で唯一独り身たちの寂しい合コンに付き合ってくれる友達だ。に、しても。そんなに幸せそうに電話されると肩身が狭い。いいのか彼氏さん、同棲までしておいて合コンに堂々送り出すとは
「あっ、晩ごはんだいじょうぶ?うん、わかった、ごめんね。え?場所?ねえねえ今日どこでするの?」
魚民、と答えたらなまえはまた電話に戻った。
「あのね、魚民だって、うんその近くの。えっ?ええ、迎えなんていいよ、明日授業あるんじゃ…あ、ないの?うーんホントにいい?うん、わかった、じゃあ終わる頃にメールするね、うん、じゃあね」
どんだけラブラブなんだよ。こんなリア充を合コンに連れて行くのも癪な気がした。
合コンが終わると、店先には案の定なまえの彼氏がいた。近くの難関大の医学部で、車持ちの、イケメン(愛想はとんでもなく悪いけど)。ほろ酔いのなまえが嬉しそうに彼の元に駆け寄ると、彼氏三成さんはおもむろになまえの手を取りずんずん歩いていき駐車場に消えていった。なまえが彼氏持ちと知らずアタックしていた男の子が可哀想になる。悪いね、彼女は数合わせだったんだ…。
「ね、この前の合コンの、なんか収穫あった?」
「あー、微妙かな。全くなまえが羨ましいよ、あんな彼氏がいてさ。車で迎えにも来てくれるし」
「えー、でもねあのあと二次会とか言っておうちでものすごい飲まされたよ、久々に二日酔いしちゃった」
そのあとセックスしたんだろうな畜生。私なんかしばらくご無沙汰だというのに。リア充爆発しろ、なんていう人の気持ちがこのときばかりはよくわかる。