「東堂は自転車がよっぽど好きなんだね」
「ああ、よっぽど好きでもなければこんなに乗り続けていないさ」
「山を登るのは楽しい?」
「楽しいぞ、誰よりも速く登ったときの風はたまらなく心地いいんだ」
「そのうち私を置いてっちゃいそ」
「私はお前を遠くへ連れて行く足になりたいんだ、だから置いていったりはしないさ」
「へんなの」
「いつまでもついてきてくれ」
「ゆっくりにしてね」
「ああ、約束するよ」