三が日をぐだぐだに過ごしたわたしたちは、ひさしぶりによそ行きの服を着て初売りに行こうということになった。本当は福袋目当てに二日からガッツリ戦闘じゃあ、と意気込んできたのだけど結局寝てしまったので四日。セールに目移りするわたしを三成くんは珍しく怒らなかった。ニットのざっくり編みの帽子がかわいいというと、アホらしくていいんじゃないかと言うからつねった。結局買ってくれたあたり三成くんらしい。ワンピースやスカートは短いのを気にして文句をつける三成くんを無視。三日間で普段の倍以上の睡眠を取った三成くんはえらくおとなしかった。

 せっかくだからとユニクロで三成くんにかっこいいパンツを見繕ってあげたのだけど、三成くんはウエストで選ぶと丈が短くて丈で選ぶとウエストと太ももががぼがぼだった。腹が立つのでスキニーを丈で選んで長いベルトをいっしょに買った。寒がりの三成くんのためにヒートテックもかごに入れる。黒の長そで、おそろいだ。長蛇の列の中でそんなことを思う。フリースのマフラーが目に入って思わず薦めそうになったけれど、三成くんはきっと去年わたしが苦心して編んだマフラーをとることはしないのだ。ふふん、ユニクロざまあみろ。そうして列が縮んで間が空いたことに気付かないわたしの背中を三成くんが力強く押した。

 帰り際、たまには奮発して色とりどりのマカロンを買う。こわもてのくせして甘党な三成くんはいくら機嫌が悪くてもこれだけでちったあましになるのだ。ぎょうぶさんに会って帰ろうか。マカロンを真剣な顔で選ぶ三成くんに声をかければ無言の賛成が得られた。こっちの分は包装を別にしてくれと三成くん。わたしのことを気に入ってくれているぎょうぶさんだ、お年玉もくれるかも。病院への道の途中、わたしの手を引いた三成くんが邪念は捨てろといったけど三成くんはきっと捨て切れてないよね。