「お前ってさァ」
後ろの席の荒北がシャーペンで背中をつつく。細い三白眼、粗野な口振り。私は荒北が得意じゃない。
「髪、綺麗だよなァ」
「え?」
シャーペンで私の髪を掬う荒北。しまった、とでも言う風に硬直する荒北。視線を逸らされる。え?
「わ、悪ィ、あー…、忘れてくれ」
「あ、う、うん」
そっぽを向いて口元を覆った荒北。その顔はほんのり赤い。高鳴る胸に戸惑う私。え、なにこれ。