『なんで、今日、休んだん』
御堂筋くんから電話があったのは、部活も終わった夕方頃だった。珍しい。普段は電話どころかメールすらもあんまり寄越さないというのに。
「ちょっと風邪引いちゃって」
『…熱あるん』
「まあ、それなりに」
ふーん。興味なさげな御堂筋くんの返事。そりゃそうだろな。電話してきたのだって、マネージャーのわたしがいなくて部活が大変だっただのそういうことを言うためだろうし。一応部活前に石垣さんには連絡したけど。
「ごめんね。明日には治るし部活にもちゃんと出れるから」
『そういうことやのうて、』
「え?」
『……なんでもない。それより、なんか欲しいモンあるか。買うていくから』
「えっ?ウチ来るってこと?」
御堂筋くんは語尾を若干有耶無耶にしつつも頷いた。嘘でしょ。
『いいから、なんかないん』
「えっと…」
『はよ』
「じゃ、じゃあ、ゼリー。みかんの」
『わかった』
一方的に電話を切られた。予想外だ。予想外すぎる。心配、してくれてるんだろうか。もしそうだったら嬉しい、なんて。