御堂筋が私の首に両手を伸ばしてきた。微弱に力を込められることはあっても決して首を絞められたりはしない。これは御堂筋が生きるために必要な行為であり、私が生きるために必要な行為である。御堂筋はドクンドクンと脈打つ私の動脈を感じ、私は御堂筋に必要とされていることを感じる。御堂筋にとって一番の恐怖は私の死であり、私にとって一番恐怖は彼の死以前に彼に必要とされなくなることだからだ。

私の瞳孔はカッと開き、吸い込まれそうなほど黒々とした御堂筋の目をただ見つめている。御堂筋はその黒々とした目で私をただ目視する。私たちが喋る代わりに私の頸動脈が脈打ち御堂筋の冷たい手がそれを聞いている。不思議な時間だ。されど幸福であった。

「今日も」

私はこのまま殺されたって構わない、しかし決して殺されはしない。御堂筋の手は私の鼓動を聞くだけである。

「なまえちゃんは生きとる」

どくん

「よかった」

▼御堂筋と共依存