不二は魔法使いかなんかなんじゃないかと思う。泣き虫な私を慰めてくれるのはいつだって不二だった。不二はその魔法の声と言葉と手のひらで、いつだって私の涙を鎮めてくれるのだ。肝試しが怖かったとき、停電と雷が怖かったとき、友達と喧嘩したとき、お母さんが貧血で倒れたとき、不二はメソメソ泣いてしまう私の涙を拭って、背中を撫でて、「大丈夫だよ」とそっと抱きしめてくれる。「大丈夫だよ。僕がついてるから、大丈夫だよ」。不二のその言葉はまるで魔法だった。なんだって大丈夫に思えてしまうのだから。それに不二はあたたかくて、なんだかとってもいい匂いがして、自然と涙は引いていく。そうして泣き止んだ私の頬を、不二はすっと撫でてくれる。私は不二が大好きだ。不二がいれば私はいつだって、なんだって大丈夫。