「また浮気したの」
また、バレた。特に隠していたつもりもなかったから当たり前、といえば当たり前か。俺の女癖の悪さは自覚している。かわいい子がたくさん言い寄ってくるのに、一人に絞るなんてもったいない、そうだろう?目の前のなまえだって本当を言えば本命っていうわけじゃない。とりわけかわいいというわけでもないが、一番料理が上手くて一番体の相性がいい、一番聞き分けのいい子だからだ。こうして詰め寄られるのは果たして何度目だろうか。いい加減責めるなら俺じゃなくて俺をこんな美形に生んだ親と俺を誘惑する数多の女の子達にして欲しい。
「もう、いいかげんにしてよ」
「すまんね」
「そんなことこれっぽっちも思ってないくせに。どこまでしたのよ」
「セックスはしてない」
なまえは思い切り怪訝な顔をしたが、これは本当だ。なまえ以外の女とはどうも乗らない。最近は他の子に手を出してもセックスだけはしていない。この事実だけでなまえは満足するはずだ。そういう聞き分けのいい子だから、俺の携帯のアドレス帳に、わざわざ特別にグループを作ってやっているんだ。
「そういう問題じゃない、そういう問題じゃないんだってば尽八、」
「…もう、しないさ。本当に愛しているのはなまえだけだ」
「うそ」
「じゃあセックスしよう、それで仲直りだ。いいだろう」
「よくない、よくないよ」
本当はもう俺を許す気でいるくせに。なまえは本当に聞き分けのいい子だ。

▼女癖の悪い東堂
なんかすみません