泉田の実家から野菜が大量に届き、東堂の実家からはなんと肉が大量に届いたので自転車部のメンツですき焼きをすることになった。万歳。東堂家万歳。さすが金持ち。マネージャーの私までごちそうにありつけるなんて、万々歳だ。ついでに農家をやってるという泉田のおばあちゃんちもありがとう。
「すき焼きなんてひさしぶりだな」
「つーかこんなに大量の肉初めて見たわ」
いつも仏頂面の福富と荒北も嬉しそうだ。牛肉の塊を見て喜ばない男子高校生なんていないだろうしな。
「さあ食え皆のども!」
「なんでお前がそんなに誇らしそうなんだ?肉を送ってくれたのは尽八の親御さんだろ?」
「新開さん、そんなことより早速肉ばっかり取らないでくださいよ」
「新開テメェ…!」
新開が肉ばっかり取るもんだから早速戦争が勃発した。あーあ。あわあわしている泉田がかわいそうだ。福富も原因をつくった真波も素知らぬ顔で食べてるし。荒北も新開も東堂も変なところで子供っぽいからなあ。影で三馬鹿って呼ばれてるの知らないのかな。
「もー、あんまり騒ぐとバレるよ」
私のひと言で騒ぎはぴたりと収まった。そう、これは自転車部だけの秘密なのだ。すき焼きをしているのがバレたら肉に飢えたほかの生徒たちがあれよあれよと集まってくるのは目に見えている。急に黙々と食べ始めた部員たちを見て思わず吹き出してしまった。
「みょうじ、何を笑っている」
「いやあ、東堂たちがあんまり美味しそうに食べるから」
「みょうじも食べないとなくなってしまうぞ」
うん、おいしい。みんなで食べてるからかなあ、やっぱり。

▼箱学(三馬鹿)とわちゃわちゃ
あんまりわちゃわちゃしていなくてすみません