狛枝くんは優しい。いつも何かと親切にしてくれるし、すぐに怒ったりもしない、いつも温和な笑顔を浮かべているとてもいい人だ。教科書を忘れたときはたとえ時間割が被っていても貸してくれるし、落ち込んでいるとそれとなく励ましてくれたり、勉強で分からないところがあると分かるまで教えてくれる。狛枝くんにはお世話になりっぱなしで頭が下がる思いだ。そんな狛枝くんのことを私は素直に尊敬していたし、それから狛枝くんのことが好き、だった。
玉砕覚悟で告白して、オッケーをもらえたときは本当に嬉しくて涙が出そうだった。
「わっ、わたし、狛枝くんがずっと好きだったんだよ」
「そう言ってくれると思った」
「えっ?」
「君、優しい人が好きなんでしょう。全部、僕の計画通りだよ」
だから本当は君の思っているほど優しい人間じゃないかもしれないけど、ごめんね。そう笑った狛枝くんはまるで別人のように、見えた。

▼確信犯な狛枝