電車の規則的な揺れに揺られ、なまえは俺の肩にちょこんと頭を預けうとうとと微睡んでいた。ただあともう少しで目的地に着くとあって、なまえは何が何でも寝まいと必死になっている。そんな様子が微笑ましくてぽんぽんと頭を撫でると、なまえは眠たそうな顔のまま少しムッとするのがまた可愛らしい。
「そんなに眠いなら少し寝た方がいいんじゃないか?」
「ん…でも…塾…すぐ着くし…」
「サボっちゃえば?」
「んん…」
どうやらなまえはまともに考える気力もないらしい。なまえは真面目な方であるから、普段ならそんなの駄目だと言うだろうに。もう目的の駅は次にまで迫っているが、俺は彼女を寝かせてやることにする。塾をサボるのは、まあ今日くらいいいだろう。後輩が部活をサボるのには寿一の手前割と厳しく当たるほかないのだが、なまえは別だ。こんな可愛い彼女を起こすのは忍びない。きっとなまえは起きたとき俺をいろいろと叱るのだろうけれど、どうせこのまま行っても寝ることに違いないのだ。なんて言い訳飲んでくれるかは知らないが。俺は寝かしつけるように頬を撫でた。
「んー…はやと…」
「はいはい、おやすみ」

▼彼女に甘い新開